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Vol.1653 橋本祥さん夢のリサイタル『GIFT』(中編)
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橋本祥さんが長年あたためてきた念願のリサイタル『GIFT』を堪能いたしました。橋本祥さんを中心にゲストの浦上雄次さん、白川希さん、盟友の加藤忠さん、お弟子さんの首藤直子さん、そして橋本拓人さんの6人が最前列に並んだ絵が壮観でした。この中篇ではゲストのタップ・ダンサーお2人にスポットを当ててみましょう。
《浦上雄次さん》
現在地方で活躍されている浦上雄次さんをゲストとして呼んだ橋本さん流石ですね。浦上さんタップ界の大スターですからね。その浦上さんをオープニングでサラッと登場させてしまうあっさりした橋本さんの演出が私大好きなんです。さらに、ヒップホップ・ダンス出身でもあるのでCammyさんナンバー“Deep Into”に担ぎ出されたり、浦上さんファンにとしては凄いGIFTでした。また、橋本さんの大切なお弟子さん拓人さんをフィナーレで浦上さんとデュエットさせたり、色々な意味での隠れGIFTも満載でした。
浦上さんの偉いところはプログラムのコメントでも、初めてタップ・ダンスに触れる方々に親切に解説をしていたり、ア・カペラで踏むタップ・ダンスの魅力を舞台の上でも丁寧にアピールしているところだと思います。ソロを1曲踊り終えた時、全ての人が浦上雄次ファンになってしまう、というスゴさがあります。
私は橋本祥さんと浦上さんのデュエット“Viva La Vida”を全く知らなかったのでこれは素晴らしいGIFTでした。また、浦上さんから奥さまと世の中の全ての母へのGIFTとして踊られた“Close My Eyes”もまた感動しました。浦上さんて本当に無駄にステップを踏まないのですね。
無駄に、と言えば何年か前の『インターナショナル・タップ・フェスティバル』で、お喋りをするだけで全くタップを踏まないまま舞台をつとめた事があったのですが、あれは一体何だったのでしょうか?
今度聞かなきゃ。
《白川希さん》
白川希さんから「自分では振付しないんですよ」と聞いた日からもう眠れない晩が続きました。
嘘です!
フレッド・アステアがジョージ・バーンズ&グレーシー・アレンとトリオで見せた『踊る騎士』の洋服にブラシをシュッシュッとかけながらステップを踏むナンバー。昨年初めて観たときの感動と言ったら。しかも曲はオリジナルの曲ではなくて『スイング・ホテル』からアーヴィング・バーリンの“You're Easy to Dance With”を持ってくるなんて!音楽のアレンジもハリウッドのオーケストラ演奏と比べて全く違和感が無くて。でもこの振付は橋本祥さんだったのですね。スーツ姿が素敵な白川さんと首藤直子さんに挟まれた橋本さんのチャーミングな事。白川さんはアステアのフィーリングで小粋に踊ってます。女性のリードもさりげなくてウマイなぁ〜。
そして白川さん次は加藤忠さん振付の“Puttin on the Ritz”も白川さんが長年踊ってきたフレッド・アステア版よりも複雑なリズムでしたが、パートナーの加藤忠さんと息のあったところを見せてくれました。後半のステッキでの決闘場面はフェンシングならぬちゃんばらだったし、最後ゴルフのスイングで客席に球を打って慌ててフェード・アウトなんて笑った!笑った!これもう1回、いや2回、いやいや3回観たかった!
さらに凄かったのが加藤さん振付の“Three Uncles Jumpin”での白川さん、浦上さん、加藤さんの有り得ない?トリオ・ナンバーでした。3人が登場した時、うちらのグルメ・ボーイズかと思いましたよ。サングラスにスーツ姿の3人がそれぞれバラバラな個性で楽しかったです。
白川希さんは先日の『東京リズム劇場』ではオリジナリティ溢れる振付作品を発表してましたが、こうしてダンサーとしても充分にこなせる事が証明出来たようです。でも、最近アステア・スタイルのソロ・ナンバーを見ていないのでどんどん踊って頂きたいのと、『恋愛準決勝戦』のコミカルなナンバー(曲は“ボヘミアン・ラプソディ”)を白川希&橋本祥コンビで見せて頂きたいものです。
浦上雄次さんと白川希さん、これからの活躍に目が離せません。
まだまだつづく。
天野 俊哉
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