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Vol.1645 もうすぐ生誕100年ジャネット・ブレア〜あの名曲を最初に歌ったひと
 歌手なのか女優なのかよく分からないのが今回ご紹介するジャネット・ブレアです。

 以前ジャネット・ブレアがラジオ番組で歌ったヴォーカル集のCDが売られていたので買おうか迷っている内に売れてしまった、という苦い経験があります。それ以来そのCDとは出会っておりません。
 つい最近、お茶の水駅前にあるDISK UNION店が改装オープンしたので冷やかしに出掛けると、ジャズ・ヴォーカルの中古CDコーナーでやたら目立つピンクのロゴが目に入りました。
 『BOMBSHELLS』
 カバーにはマリリン・モンローの白黒写真があり『Singing Sirens Of The Silver Screen』(銀幕の歌う妖婦達)と小さくサブタイトルが。かなり分厚い2枚組CDなのにたったの¥600です。裏返すと小さな文字でタイトルがズラッと書いてあります。マリリン・モンローが歌う“A Fine Romance”から始まりモーリン・オハラの歌まで計40曲。よーく見るとジャネット・ブレアの名前もあり、“The Gentleman Is A Dope”という歌を歌っています。他にも興味深いアーティストや曲が多かったので購入しました。
 開封すると中から24頁のカラーで写真満載のブックレットが出てきましたが、曲と人物紹介が詳しく書いてあるのが嬉しい。
 どうやらジャネットはハル・ケンプ楽団の専属歌手出身であり、ここに収められた曲は1959年に発売された『FLAME OUT!』というジャネットのアルバムからの物とか。パンチの効いた歌は他の妖婦達とはレベルが違いすぎる様でした。
 ちなみにカバーの女性はマリリン・モンローに似ているけれども別人でダイアナ・ドースとの事。『ダニー・ケイの替え玉作戦』(1961)に出演していた女優さんです。

 で、何でしたっけ?
 ああっ、ジャネット・ブレアさんでしたね?
 皆さまのぶちギレ寸前のお顔が目に浮かびます。
 ジャネットはコロムビア映画を中心に女優として活躍しました。
 私が初めて観たのが『伝説のドーシー兄弟物語』(1947)でした。1930年代から50年代に活躍したバンド・リーダーのジミー・ドーシーとトミー・ドーシーの伝記映画。ジミーとトミーが本人が演じてしまったという不思議な作品ですが、全く違和感なく自然に演じています。凄い才能です!ジャネットは2人の幼馴染みで専属歌手役、“To You”というこの映画のオリジナル曲を歌っています。
 次に観たのが名優ケイリー・グラント主演の『此の虫百万弗』(1944)というコメディ。虫が踊る!なるコンセプトばかりに気持ちがもってゆかれ、ジャネットがどんな役をどう演じたか全く記憶がありません。
 ちなみに、最後の最後まで題名の虫が出てこない詐欺みたいな映画でした。
 次に観たのがコロムビア映画のスター女優リタ・ヘイワース主演の『今宵よ永遠に』(1945)は豪華なテクニカラー・ミュージカル映画。オープニング・ナンバーでリタが伝説の振付師ジャック・コールとデュエットしたり、そのコール振付の前衛的な2つのプロダクション・ナンバーが、バレエ・リュス出身の男性バレエ・ダンサーのマーク・プラットの踊りが素晴らしくて記憶に残ってる作品です。ジャネットはリタの親友の役で肌着でのデュエット・ソングもありますが、戦時中に同盟国だったイギリスを讃える愛国的なナンバーで実力を発揮していました。最後は空襲で亡くなる?展開だったと思います。
 さて、DVD化されていないジャネットの作品に目を向けるとドン・アメチーと1943年に主演した『Something to Shout About』ではY'sとは縁のあるあの名曲“You'd Be So Nice to Come Home To”(以下“ユビソ”)をジャネットが歌っているのが驚きです。話は変わりますが、私は淺野康子さんが振付した“ユビソ”を『2016年のナショナル・タップ・デー』でY'sのメンバーとして踊らせていただいた後、少し簡単にして大宮教室の生徒に指導し、チャリティの舞台で披露した後も毎週必ずクラスのレッスンで踊っているのですが、私も生徒も1度たりとも完璧に踊れた事がないのですね。生徒は「きっと淺野先生の振付が緻密過ぎるからに違いない!」みたいな見解を述べてます。この大宮教室の生徒達が戸塚でのY'sの発表会に「参加したいです!」と挙手した時に、「じゃ、“ユビソ”をも一度踊ろか?」と提案しようかと思いましたが止めました。結局、私のシンプルな振付で参加することになりました。

 今回は“ユビソ”を初めて歌った歌手なのか女優なのかよく分からないジャネット・ブレアをご紹介しました。

天野 俊哉



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