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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1625 SKDスタス新劇場公演
 この春、浅草ゆめまち劇場での最終公演を終えたSKDスタスが新しい劇場での活動をスタートしました。
 それが、あの浅草の遊園地花やしき。お化け屋敷が結構怖くて、民家に向かって進んでゆくジェットコースターが有名な遊園地であります。一時期凝った時期がありまして、古巣に戻ったみたいな気分です。

 ではない!
 レヴューの話でしょ?
 そうでしたな。
 さて、長らくレストラン・シアターでの興行からストレートな舞台への興行とはスタッフ・サイドのご苦労は大変な事だとは思いますが、かつて浅草の国際劇場からジプシー生活を強いられたSKDの方々ゆえ、「何のこれしき」と乗り越えてしまうに違いありません。
 何よりも地元浅草ですから心強いはず。私としては懐かしい遊園地に気持ちを持ってゆかれないように舞台の事だけを考えながら花やしきに向かいました。
 土曜日の昼12時頃、早くも花やしき到着してしまいました。開場まで30分もあるので、花やしき近辺には珍しい全席禁煙のコーヒー店に飛び込みひと休みしました。
 さて、遅刻してはいけませんので開場時間少し前には列に並びました。遊園地の中とのことなのでテント小屋もしくは野外ステージなど色々想定しましたが花劇場(カゲキジョウ)は非常に立派な造りの小屋、そう小屋でした。2階席もあるようでしたが初めてなので1階席から観賞しました。

 場内にはハーモニカの音色で“笹の葉さらさら”の曲が流れます。
 なんだっけ?
 七夕ですね、7月6日でしたので実にタイムリー。
 でもオープニングは和ものではなく“Oye Mama”というラテンナンバー。榛名珠利さんら全員が黒のアフロヘアー、娘役はお腹を出した衣裳。
 16名の総踊りのあとは左半分がゴールド、右半分がブラックの全身タイツ姿の佐野基さんによるモダンダンスのソロ。稲妻を表現したものらしい。
 さらにセクシー系の黒の衣裳に赤のレースを羽織った女性5人の踊り。ここまで一気に若い感覚の衣裳とダンスで押しまくる。
 客席から黒のタキシードを着たゲストの瀧園子さんがフランク・シナトラの名曲“夜のストレンジャー”を歌う。ちょっとした所作が素敵だ!
 次の酒匂るりさんと佐野基さんによる“エア・メイル・スペシャル”は歌舞伎座や渋谷のジャンジャンでSKDの大先輩たちがシャープに踊った懐かしいナンバー。もちろん新しい振付で女性2人がダイミックに競う。赤とブルーのミニのリリアン衣裳が踊りを引き立てている。
 ここで中詰の和ものは沖縄の民謡からじっくり4曲。やっとSKDらしくなってきました。ゲストの芹なづなさんの“島歌”、初音ひかりさんと娘役さんによる“ユンタ”、榛名珠利さんと男役さんによる“鳩間節”、そして“エイサー”で総踊りに。頭と腰に巻いたパープルの布が綺麗。男役さんのゴールド系の着物も珍しい。総踊りのポーズで直ぐに暗転や転換を入れない演出にレヴューの醍醐味が感じられて嬉しかったです。やがてパーっと幕が閉まって暗転に。

 後半は客席からシルバーのドレスを着た芹なづなさんによる“ビギン・ザ・ビギン”の歌をじっくり、というよりたっぷり。和ものから洋ものへの衣裳とメイク・チェンジは大変ですからね。
 舞台に現れたカンカン帽にブルーのジャケット姿の瀧園子さんとブルーのリリアン姿の初音ひかりさん。SKDのOGペアによるデュエット・ダンス“イン・ザ・ムード”はとても息が合っていて見応えがありました。ガラッと雰囲気を変えて奈央海ゆうさんと直華れいさんをフューチャーした若手男役さん娘役さんによるR&Rナンバー。皆さん素敵な衣裳で華やかな場面を創りました!まだSKDスタス2年目の郡司聡美さんの男役としての成長ぶりにはビックリです。キザり方や振りの付いていない部分の間の埋めかたや、リフトも上手いですね。金髪のヘアスタイルも決まってました!
 さて、SKD名物エイト・ピーチェスを想わせる酒匂るりさんら5人の女性による“Kiss”は、振付が見事ですしダンサーの皆さんがセクシーなムードをうまく醸し出していました。これは大収穫でした。
 “悲しき願い”で瀧園子さんはスパニッシュ・スタイルの衣裳、相手役の酒匂るりさんは今年流行りの?ワンショルダーの黒のドレスで大人っぽく情熱的なデュエットを。ただし、ホリゾントに赤の照明が綺麗に染まらなかったのが残念、舞台機構の問題かも知れませんね。
 同じ“悲しき願い”をピンクのレオタードを着た10人のアトミック・ガールズがライン・ダンスで。オーソドックスなスタイルの中にパワフル感満載の振付はさすがSKDだと思いました。
 まさかここでボブ・フォッシーの名作“スティーム・ヒート”が登場するなんて!
 榛名珠利さんを中心に男役が奈央海ゆうさん郡司聡美さん。歌の入ったブロードウェイ版の録音を使ってましたが、全く気にならない位踊れてました。帽子を下からのばした手にほうり上げるオリジナルの振りまでこなしてしまうなんて。
 もう一度観たかった!
 フィナーレは夏のおどりらしくラテン・メドレーですが、“ヴォラーレ”をはじめビールのテレビCMに使われている歌入りのアレンジでした。こんなところも新しいレヴューの雰囲気で私は好きですよ!

 新しい花やしき歌劇場での公演はお客様も良く入っていました。ゲストが3人というのも心強かった事でしょう。フィナーレで次回秋のおどりは10月と告示がありました。舞台のバトンがだいぶ高いのが気にはなりましたが今後考えて改良される事と思います。
 お疲れ様でした!

天野 俊哉



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