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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1624 『スイート・ファンタジア・オーケストラのコンサート』
 1930年代のアメリカでベニー・グッドマン楽団をはじめとするスイング・バンドに対し、ガイ・ロンバート楽団をはじめとするソフトな音楽を奏でるスイート・バンドが存在しました。スイート・バンドはヴァイオリン、ヴィオラ、チェロさらにはハープ等のストリングスが加わるので、スイング・バンドとは楽器の構成もかなり違いました。後に、スイング・バンドでありながらアーティ・ショウ楽団、ハリー・ジェームズ楽団、トミー・ドーシー楽団が大勢のストリングスを加えスイートな曲も混ぜて演奏したので、スイング・バンドとスイート・バンドの境目が無くなり、純粋なスイングジャズ・ファンからは批判されたりもしました。

 日本でも1970年代にホテル・ニューオータニが小原重徳&ジョイフル・オーケストラという専属のスイート&スイングの楽団を持ちました。同じ様に、古いスイング・ジャズやスイートな音楽に魅了された若きジャズ・サックス奏者の篠崎秀樹さんが、ヴァイオリニストの高田あずみさんらと1985年に結成し今も地道に活動を続けているのが篠崎秀樹&スイート・ファンタジア・オーケストラ(以下SFO)です。
 私がこの世界に入って直ぐの1987年頃にSFOの¥3200もする高価なCDを秋葉原の石丸電器で購入、やがて外苑前のライブハウス、マンダラで単独ライブを聴いてから、ヤマハホールでのリサイタルや日本青年館でのビッグバンド・フェスティバルまで駆けつけましたが、ここ10年ほどご縁がありませんでした。今回、たまたまコンサートの情報を知り六本木のライブ・ハウス、バードランドまで駆け付けました。

 小規模なライブハウスのバードランドでのコンサートなので、リーダー兼サックス奏者の篠崎さんらメンバー12名。内訳は
サックス4名
トランペット3名
トロンボーン1名
ヴァイオリン1名
リズム3名

 ちょうど結成当時の構成に近いのです。しかもオリジナル・メンバーが6名も在籍しているのは嬉しい限り。
 結成当時に発売されたCDに収録され、今まで何十回も聴いてきた
“サウンド・オブ・ミュージック・メドレー”
“おもいでの夏”
“星に願いを”
“グラナダ”
“碧空”
“ピープル”
“ハワイアン・メドレー”
“ビル・ベイリー”

等が生で聴けたのも感動しました。
 前半13曲で75分
 後半13曲で75分

 メドレーも数曲あったので実に中身の濃いコンサートでした。
 ジャズと言ってもディキシーランド、スイング、モダン・ジャズと幅広くおさえ、観客に馴染みぶかいディズニーの曲を含めた映画音楽、ハワイアン、タンゴさらにはR&Rと、スイートにスイング出来る音楽全般をセレクト。
 圧巻はやはりオリジナル・メンバーの上里知己さんのピアノをフィーチャーした
“トゥ・ラブ・アゲイン”
 高田あずみさんのヴァイオリンをフィーチャーした
“チャップリン・メドレー”
やクラシックのソロ・ナンバーなどでした。篠崎さんのこだわりぬいた編曲が見事なので、外部からのプレイヤーの参加に問題なく、大変満足のゆく演奏でした。今回、若い女性トランペッターが2人並んでいたのも新鮮で、そのうち一人がハリー・ジェームズばりの艶のある音色で名曲“スリーピー・ラグーン”を演奏しきったのは凄かった!続けて隣のベテランの男性トランペッターの方もアーティ・ショウ楽団の“スター・ダスト”をビリー・バタフィールドばりのスタイルで聴かせたのもお見事でした。日本のジャズ・トランペッターのレベルもここ20年で海外レベルになった様ですね。
 ラストがモダン・ジャズの名曲“マンテカ”とスイング・ジャズの名曲“スィング・スィング・スィング”。以前のスイート・ファンタジア・オーケストラなら最後にこの様なスインギーな曲を持ってくる事は少なかったのですが、各セクションのプレイヤーが実にスイングしていて魅力的なソロを聴かせてくれたのでこちらも大収穫でした。

 場所柄か若い女性の方がたくさんみえていたのは驚きでした。こうしたコンサートで普段触れることの無い甘美なメロディーのファンになって頂けたらな?と思いました。また楽団のメンバーが、上が50代とすると真ん中がいなくて下が20代という世代構成なのがタップ・ダンス界に似ているのも興味深かったです。
 皆様もぜひ篠崎秀樹&スイート・ファンタジア・オーケストラにご注目下さい。

天野 俊哉



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