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Vol.1623 もうすぐ生誕100年マリオ・ランツァとドナ・リード
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今回から1921年生まれのスターにスポットを当てて行きます。ちなみにマリオ・ランツァとドナ・リードには何の関係もありません。
《マリオ・ランツァ》
マリオはMGMミュージカルで活躍したイタリア系アメリカ人のオペラ歌手。
MGM映画にはそれまでもネルソン・エディやアラン・ジョーンズといったオペレッタのスター俳優がいましたが、マリオほどセクシーでハンサムなオペレッタのスターは初めてでした。映画界にスカウトされ、歌手としてラジオやレコードで人気を博しましたがただひとつ問題が。
そう、気性が荒すぎた?
私が大好きな女性オペレッタのスター、キャスリン・グレイスンと2本の素晴らしいミュージカル
『ザ・ミッドナイト・キス』
『ザ・トースト・オブ・ニューオリンズ』
で共演し“Be My Love”という情熱的な歌をデュエットしました。ところが撮影中のマリオ君はわがままし放題、悪態をつきまくり、ついには相手役のキャスリンを荒っぽく扱い、映画会社とキャスリンからすっかり嫌われてしまいました!
せっかく人気の出たカップルだったのですが、次回作のオペレッタ大作『歌劇王カルーソ』からキャスリンは辞退してしまいました。
さらに『皇太子の初恋』という作品では、録音したマリオの歌が他の俳優の吹替えに使用されてしまいました。多くのトラブルからMGMをクビになり、その後も数本の映画に主演して上手い歌を聴かせてくれましたが、プライベートでのトラブルから38歳の若さで亡くなりました。
三大テノールで知られるパヴロッティはマリオ・ランツァの映画を観てオペレッタの歌手を目指したそうです。
《ドナ・リード》
1953年のフレッド・ジンネマン監督作品『地上より永遠に』でアカデミー助演女優賞を受賞したのが名女優ドナ・リード。
MGMの専属女優として第二次大戦中にデビュー。アメリカの兵隊に沢山の手紙を書いて多大な貢献をしたエピソードがよく知られています。悲劇の戦争映画であるジョン・フォード監督の『コレヒドール戦記』での戦場の看護婦役が初期の当たり役。
ドナ・リードにとって不幸だったのは名作よりも駄作への出演が多かった事かも知れません。長いキャリアの中で名作と呼べるのは
『コレヒドール戦記』
『素晴らしき哉!人生』
『地上より永遠に』
位なもの。出来の悪い西部劇や残念な伝記映画『ベニー・グッドマン物語』みたいな作品が山のようにあるのです。中にはグレン・フォードと主演した『誘拐』の様に、ドナ・リードの為に書かれた様な役柄もあり、白黒画面の記憶に残る作品もありますが。
ドナ・リードが歌ったり踊ったりのミュージカル映画は知りませんが、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉!人生』ではジェームズ・スチュアートと学生時代のプロムの場面でチャールストンを器用に踊っていました。踊りながら二人揃ってプールに落ちてしまうという楽しい場面でした。
さて、私は1度も観た事がありませんが、映画からテレビに活躍の場を移して出演した『うちのママは世界一』が何年にもわたって放送が続いた人気シリーズ。アメリカでのタイトルは
『ドナ・リード・ショー』
でした。
映画では、大人しくて愛らしい役柄ばかりでしたが、実生活では、1960年代にアメリカの若者が巻き込まれたベトナム戦争に反対する立場を取りました。かつて、兵隊に行かされた多くの若者からの手紙を読んで、戦争がいかに愚かな事であるかを理解したドナ・リードの起こした勇気ある行動だったのですね。
天野 俊哉
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