TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1618 もうすぐ生誕100年ヴァージニア・メイヨ〜テクニカラーの女王
 第二次世界大戦が終わった1945年以降、日本にはハリウッドで製作された娯楽映画がどっと輸入されました。その中で、テクニカラー(総天然色)の女王と呼ばれ人気の高かった女優がもうすぐ生誕100年を迎えるヴァージニア・メイヨです。ちなみに離婚歴無しというハリウッド映画界では珍しい存在の方であります。

《サミュエル・ゴールドウィン映画のトップ女優》
 ニューヨークで人気のあった『ビリー・ローズのダイアモンド・ホース・シュー』というショーのダンサー出身。映画プロデューサー、サミュエル・ゴールドウィンにスカウトされ、ボブ・ホープ主演の『姫君と海賊』でデビュー、ダニー・ケイとのコンビで『ダニー・ケイの天国と地獄』『ダニー・ケイの牛乳屋』『虹を掴む男』『ヒット・パレード』でスター女優の仲間入り。お金をかけたミュージカル映画のファンタジーな世界で、色彩映えするヴァージニアはキラキラしたヒロイン役にぴったりでした。歌は必ず誰かが吹き替えてましたが、ダンサー出身ゆえミュージカル・ナンバーで活躍したか、と考えてみるとダニー・ケイ作品にはヴェラ・エレンがダンサー契約をしていたので残念ながらヴァージニアの出番はありませんでした。
 もしこの程度の女優さんならばゴールドウィンとの契約が切れた瞬間に消えていたに違いありませんが、ヴァージニアには隠れた実力がありました。
 そう、悪役です。
 白黒画面になると華やかさが消えて、逆に妖艶さが増すのでした。ちょっと斜視気味の目と、ダンサー出身なので保守的な時代にも関わらず水着、下着、薄着、パンチラに対する抵抗が少なかった様で、男性人気が凄かったそうです。

《ワーナー・ブラザーズ映画のスター女優》
 上品なゴールドウィンのあと、大手映画会社のワーナー・ブラザーズと契約。社会派ドラマの名作が得意のワーナー映画に移ってきたヴァージニアに与えられたのが長身かギラギラした個性的な男優の相手役でした。
 ジョエル・マクリー
 ロナルド・レーガン
 ジェームズ・キャグニー
 ジョージ・ラフト
 バート・ランカスター
 アラン・ラッド
 カーク・ダグラス
 グレゴリー・ペック
 ロバート・ライアン etc.

 悲劇の西部劇として知られるラオール・ウォルシュ監督の『死の谷』での体当たり演技でヴァージニアはワーナー映画での地位を築きました。続いてギャング映画の大スター、ジェームズ・キャグニーが主演した『白熱』ではズル賢い娼婦役で熱演。ぶちギレしたキャグニーに殴る蹴るの大リンチを受けました。髪を振り乱したヴァージニアの姿が当時のアメリカでの男性人気を更にあおりました。後のアメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンとは『真夏の脚線美』という作品では何と水着姿で共演しました。ただ、ワーナー映画での後期はつまらない西部劇や史劇ばかりで気の毒でした。

《ミュージカル映画でダンサーとしての素晴らしい活躍》
 私はゴールドウィン映画とワーナー映画でのヴァージニア・メイヨ作品を10代の頃にテレビで見尽くしました。驚いたのはヴァージニアが主演したミュージカル映画が日本では全て劇場未公開でテレビでも全く放映してくれないので、たった5本しかないのに全部観るまでに30年もかかりました。

『West Point Story』(1950)
 落ちぶれたブロードウェイの演出家ジェームズ・キャグニーがウエスト・ポイント陸軍士官学校に招かれミュージカル・ショーを作る。ヴァージニアはキャグニーのアシスタント役として全編タップを踏みまくる。ジーン・ネルソンと踊るナンバーよりも男性を従えた稽古場面がイキイキしていたり、キャグニーとみせるタップやブルースのデュエットが素敵でした。

『Starlift』(1951)
 ジェームズ・キャグニー、ゲイリー・クーパー、ドリス・デイ、ゴードン・マクレエらワーナー映画のスターが大勢ゲスト出演し、朝鮮戦争に出征したアメリカ兵を慰問するミュージカル。ヴァージニアは男性2人と女性4人を従え裸足でカリブの踊りを魅せます。パトリシア・ワイモア、ジーン・ネルソン、ジャニス・ルールがタップダンス・ナンバーを担当してます。

『Painting the Clouds with Sunshine』(1951)
 ヴァージニア、ルシル・ノーマン、ヴァージニア・ギブソンの美人3人姉妹がお金持ち探しの旅に出るミュージカル。タップ・ダンサーのジーン・ネルソンが絡むオープニングのダンス・ナンバーが楽しめます。1950年代に流行ったマンボをヴァージニアら女性3人とジーン・ネルソンで踊るナンバーはタップではありませんが照明の使い方と振りが魅力的。またショー場面でジーン・ネルソンがトランペットを吹きながらヴァージニアと踊るナンバーではヴァージニアの艶っぽさ全開のダンス・スタイルが目を引きます。
 若手のヴァージニア・ギブソンと組まされた事でキャリア後退か?と思われましたが。

『She's Working Her Way Through a College』(1952)
 バーレスク(ストリップ)の女王ヴァージニアがロナルド・レーガンのいる大学にやって来て大騒動になる。オープニングのレヴュー場面でのヴァージニアが最高に光ってます。これはヴァージニアとジーン・ネルソンが恋人同士になるのでタップのデュエット・ナンバーも素敵に展開します。お2人とも32歳で大学生とはお若い!他にパトリシア・ワイモアとブラックバーン・トゥインズがタップダンス・ナンバーを担当。

『She's Back On Broadway』(1953)
 ハリウッドのやや落ちぶれた女優のヴァージニアがブロードウェイの舞台に帰ってきた!ヴァージニア堂々の主役です。演出家役のスティーブ・コクランはゴールドウィン映画時代の仲間。ジーン・ネルソンは役が軽すぎて気の毒ながら、ダンス・ナンバーになると主役レベルの扱いに。稽古場面でのヴァージニアとジーン・ネルソンお2人のレッスン着姿がスマート。ジェリー・ブランドロウ、スティーブ・コンドス、パトリシア・ワイモアがタップダンス・ナンバーを担当。

 さて、1920年生まれの有名人の生誕記念コラムはここまでです。次回からは1921年生まれの有名人を取り上げて参ります。
 はたして第1回目に登場するのはどなたでしょうか。お楽しみに!

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.