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Vol.1616 もうすぐ生誕100年モンゴメリー・クリフト〜陰りのある魅力的な俳優
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ハリウッドのスタジオ・システム全盛期にブロードウェイの舞台を経て映画デビューした筋金入りの俳優がモンゴメリー・クリフト(以下モンティ)であります。後にマーロン・ブランド、ジェームス・ディーン、ポール・ニューマンらがモンティに続く事になります。
どこかのスタジオの専属にならず、気に入った作品を選んで映画に出演するフリーランサーとして活動を始めたモンティですが、その甘いマスクを大物監督や大物女優達が放っておくはずもなく、俳優としてプライドの高いモンティは直ぐに挫折感を味わう事になった、と私は見ています。
『赤い河』
名監督ハワード・ホークス
名優ジョン・ウェインと。
『女相続人』
オスカー女優オリビア・デ・ハヴィランドと。
『私は告白する』
名監督アルフレッド・ヒッチコック
オスカー女優アン・バクスターと。
『終着駅』
オスカー女優ジェニファー・ジョーンズと。
『荒馬と女』
名優クラーク・ゲイブル、人気女優マリリン・モンローと。
私はこれらの作品を学生時代にテレビで観たのですが、何れも素晴らしい作品だったのにモンティと役柄、モンティと共演者の違和感を感じました。もちろん、私だけの感想かも知れませんが。
逆に、これこそがモンティだよ!モンティでなければ演じられないよ!と言える作品が、エリザベス・テイラーと主演したジョージ・スティーブンス監督の『陽のあたる場所』、そしてバート・ランカスターと主演したフレッド・ジンネマン監督の『地上より永遠に』でした。
まず、『陽のあたる場所』はモンティ扮する主人公はかなり理不尽な男ゆえ感情移入出来ませんでしたが、陰りのある雰囲気が女性ファンにはたまらない魅力だったであろうし、演技ではシェリー・ウィンタースと、ラブ・シーンではエリザベス・テイラーとの相性が最高でした。
そして『地上より永遠に』は14歳の時に渋谷の名画座で観て以来何回観ただろうか?
バート・ランカスター
モンティ
デボラ・カー
フランク・シナトラ
ドナ・リード
アーネスト・ボーグナイン
これらの名優達が絶妙に絡み合うドラマはスリリング、それゆえ何度観ても面白いのでしょう。真の主人公であるモンティは感情を殺しながら軍人として耐え抜くプリーウィット役を熱演しました。真逆の気さくな軍人を演じたフランク・シナトラとのコンビは絶妙でした。当時のシナトラは歌手であり、芝居は未知数だったのですがこの作品で念願のアカデミー助演男優賞を受賞しました。モンティは後年『若き獅子たち』でも軽妙な演技が魅力の歌手ディーン・マーティンとバランスの良いところを見せてましたね。
モンティは1950年代に自動車事故の後遺症で容姿が変わってしまい、俳優としても自滅してしまったそうです。美貌ではなく陰りのあるところが一番の魅力だということに本人だけが気付いていなかったのかも知れませんね。
今回はもうすぐ生誕100年を迎える名優モンゴメリー・クリフトを取り上げました。
天野 俊哉
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