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Vol.1614 女優・杉葉子さん追悼〜寺沢新子<めぐの叔母さん
 女優の杉葉子さんが亡くなりました。90歳との事、私の父が89歳ですので同世代の方ですね。新聞には戦後直ぐの映画『青い山脈』の主演女優の見出しが多かった様です。東宝映画のニューフェースとして映画デビューしたのが1948年。
 代表作『青い山脈』以外にも沢山の作品に出演してますが、女優として成功した印象はありません。

 さて、杉さんの出逢いは私がまだ小学生の時でした。
 テレビドラマで『気になる嫁さん』というのがあり、当時八重歯の可愛らしいアイドル系の榊原るみさんが主演、榊原さんがお嫁入りする家の家族が、佐野周二のお父さん、山田吾一・水野久美・石立鉄男・山本紀彦・関口守の兄弟、そして浦辺粂子のお手伝いさん。榊原るみさんと結婚する末っ子役の関口守さんは佐野周二さんの実子で、関口宏さんの弟です。ドラマでは、この関口守さんが病で亡くなり、榊原さんが未亡人になってしまうのだからビックリしました。いかにも昭和らしい展開でした。

 榊原るみさんの役名がめぐみ、身内は歯科医の叔母さんだけ。これが杉葉子さんでした。ソファに座ってタバコを吸ったり、テキパキした喋りが痛快、1970年前後のウーマンパワーを象徴する様な役柄が杉さんにぴったりでした。私の母なんぞ杉葉子と名前を呼ばずに《めぐの叔母さん》と言ってました。

 さてその当時、往年の名作『青い山脈』がテレビドラマ化され、金谷六助と寺沢新子の新旧主人公が顔をあわせる番組が放送されました。映画版のコンビが池部良さんと杉葉子さん、テレビ版が若き日の志垣太郎さんと坂口良子さん。何故こんな番組の事を覚えているのか?と言えば番組の中で志垣太郎さんが長髪のまま主人公を演じている事を年長者である池部さんがネチネチとケチをつけたからなんです。当時は池部さんを「イヤな奴だ!」とムカついたものです。逆に杉葉子さんは常にニコニコして、同じ役を演じる坂口良子さんに優しくて素敵な方だなぁと思ったものです。

 私が映画『青い山脈』を観たのはそれからずっとあとの事、ビデオが普及して古い日本映画が商品化された1980年代になってからです。石坂洋次郎原作による名作として知られる映画ですが、さすがに令和のこの時代にみると奇妙なところが多くて思わず笑ってしまいます。ところが、杉葉子さんの存在はセンセーションで、フレッシュで、いかにも進歩的、主演の原節子さんや小暮実千代さんを一気に過去のものにしてしまった事がうかがえます。
 脚の長さも身長も当時の日本女性の平均以上であったのでしょうね。ただ、この『青い山脈』以降の杉さんが何となくパッとしなかったのは、寺沢新子があまりに当たり役すぎた事、相手役の池部良さんも長身だったのでバランスがとれたものの、当時の東宝映画では杉さんと釣り合う長身の男優が少なかった事などが考えられます。

 さあ今から杉葉子さん追悼で『青い山脈』を観てみたいと思います。杉葉子さんのご冥福をお祈りいたします。

『青い山脈』トリビア
・映画『青い山脈』は、石坂洋次郎の同名小説を原作に1949年(東宝)・1957年(東宝)・1963年(日活)・1975年(東宝)・1988年(松竹)の5回製作された。
・最も名高いのは、やはり今回取り上げた杉葉子さんと池部良さん主演の1949年作品。ラブレターに「恋しい恋しい私の恋人」を間違えて「変しい変しい私の変人」と書いてしまうエピソードも有名。
・舘ひろしさん主演の1988年版に、第1作目で主役を演じた池部良さんが封建的な父親役で出演して話題になった。
・テレビドラマ版は、1962年(毎日放送)・1966年(日本テレビ)・1974年(フジテレビ)の3回にわたって製作・放送された。
・志垣太郎さんと坂口良子さんが主人公を演じたのは1974年版。二人でオープニング主題歌も歌ったが、日本コロムビアから発売されたシングルレコードには坂口&志垣バージョンではなく、坂口&円谷弘之バージョンが収録されている。円谷弘之は、フォーリーブスのバックを務めていたジャニーズのアイドルグループ「ジューク・ボックス」のメンバー。

天野 俊哉



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