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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1610 『2019年の東京リズム劇場』橋爪麻美ダンス・ナンバー
《Seaside Rendezvous》
 このナンバー、舞台では天野&簗瀬のデュエット・ナンバーに次いで中割が開いてスタートした日本のフレッド・アステアこと白川希さんの最新作であります。

 白川さんからここ数年見せてきたフレッド・アステアを想わせるデュエット・ダンスではなく、「男性3人によるミュージカル・ナンバー、しかも水兵やります!」と聞いた時、はっきり言ってびっくりしました。でも、アステアは1935年のRKO映画『艦隊を追って』でブルーの水兵服に身を包み、物凄くシャープなダンスを見せているわけですね。しかも船の甲板の上で今度は白い水兵服を着たアステアと沢山の水兵たちによるアカペラ・タップは珍しく男くさいダンス・ナンバーでしたので、「なるほど!あれをやるんだなぁ〜」とワクワクしてしまいました。
 ところが年が明けたら、何やらそのナンバーに橋爪麻美さんが紅一点で出るみたいな情報が聞こえてきたので全く分からなくなってしまいました?

 気になり過ぎてご飯が喉を通らなくなってしまった天野はついに松本先生に探りを入れました。
 なるほどジェローム・ロビンスのブロードウェイ・ミュージカル『オン・ザ・タウン』、映画では『踊る大紐育』です。休暇をもらって上陸した3人の水兵が大都会で素敵な女性に出逢う!という流れになるのでしょうか?
 「えっ?でも白川さん、それってジーン・ケリーじゃ?」
 ああっ、白川さんご贔屓のヴェラ・エレンが踊ってますものね!
 ダンスの上手い橋爪さんなら白川さんの望む健康的なお色気を持ったヴェラ・エレンの雰囲気が出せますね。

 今回の白川さん作品には2つの偶然が重なりました。まず、1月に宝塚歌劇団月組がブロードウェイ版の『オン・ザ・タウン』を上演した事。もうひとつは、2月に映画版の『踊る大紐育』の監督をつとめたスタンリー・ドーネンが亡くなった事です。この事を白川さんに伝えると「スタンリー・ドーネン監督追悼にしたいですね」と直ぐに返事が来ました。

 やがてスタジオでの通し稽古で拝見したこのナンバーは、男性3人と女性1人の動きがジェローム・ロビンス振付のオリジナル・バレエ“ファンシー・フリー”のタップ・ダンス版みたいな実に躍動的であることに驚きました。だから竹下恭平さんとK-TAさんがキャスティングされたのか!もはやフレッド・アステアうんぬんではない白川さんの隠された振付の才能が発揮されていたからです。特に上半身、腕を不思議に動かす振りに釘付けになりました。
 オモシロイ!
 あんな発想があるなんて!
 さらに赤いワンピースを着た橋爪さんをハツラツと光らせるセンスにも感心しました。

 実はわたくしこの素晴らしいミュージカル・ナンバーをほんの少ししか観ていないのですよ。自分の次のナンバーだし、私は衣裳替えに楽屋に行かねばならないかったからです。
 残念無念。

《Tim Dom Dom》
 さて、めちゃハンサムな男性3人に囲まれた橋爪さんにはもうひとつの素晴らしいタップ・ダンスが用意されました。しかも振付は松本晋一先生。こちらは関島邦江さん薄井由美子さんと橋爪さんの女性3人。ただし振付のスタートは松本先生がサンフランシスコから来日された3月下旬からでしたので時間が無さすぎでした。噂によると深夜に稽古をしたとかしないとか?
 まあ良い。
 セルジオ・メンデスのボサノヴァ曲として知られる“Tim Dom Dom”はおのずからサルサの動きになるので「貴女の得意分野でしょ?」と橋爪さんに聞くと「私よりも関島さんの方がしなやかに動けているんですよ」とか。でも関島さんと言えば某テーマ・パークのダンサー出身、しかも最初にタップ・ダンスを学んだのは女性らしさを追求するには持ってこいの某佐々木隆子タップダンススタジオなので当然と言えば当然かも。
 このタップ・ダンスはスタジオでの通しから本番中までほぼ全部を拝見しました。3人それぞれがリズム以外に衣裳や小物にまで凝り、毎回少しずつ変化をつけていました。
 劇場に入るとスタジオでは分からなかったダンサーの特徴や癖が見えて面白かったです。つまり20年以上同じスタジオで一緒に踊ってきた関島さんと薄井さんの間隔が微動だにしないのに対して橋爪さんはその間隔が広まったり狭まったりしてしまうのです。松本先生にも指摘されてましたが次第に3人の間隔がピッタリはまったので感心しました。

 踊り出しのタップのリズムの心地好さったら最高でした。案の定、タップ好きの方には評判が高く、私も大好きなナンバーでした。
 「これでもか!と絞った体形がお見事だったわ」と、女性の生徒達がやたら感心しておりました。

天野 俊哉



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