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Vol.1605 ドリス・デイ追悼〜歌手でダンサーで女優で愛犬家
 淺野康子さんのTwitterに甘えん坊プリン君の写真が登場、5月13日は日本では《愛犬の日》であるとの事。淺野さんに抱かれたプリン君の愛らしさに癒されました。5月23日は5歳の誕生日だとか。おめでとう!
 この《愛犬の日》を少し調べていたら歌手で女優のドリス・デイの訃報のニュースが目に入ってきました。そう、ドリスこそはハリウッド、いやアメリカを代表する愛犬家であり動物愛護に力を入れた方なのです。私が20歳の時、ドリスとタップ・ダンサーのジーン・ネルソンが主演したミュージカル映画『ブロードウェイの子守唄』を観てドリスの素晴らしいタップ・ダンスに感動。早速ビバリーヒルズ在住のドリスにファンレターを書きました。しばらくして我が家に届いたのはドリス・デイ御本人からの手紙やサイン入り写真でなくアメリカの動物愛護協会からのバンフレットでした。

 日本におけるドリス・デイの位置づけは、名曲“センチメンタル・ジャーニー”や“ケ・セラ・セラ”の歌手。ラジオからはドリスの歌声がよく流れていました。また、テレビでは『ドリス・デイ・ショー』というコメディ・シリーズが放送されていました。日本でも人気の高かった偉大な歌手なのに飛行機が苦手との理由から来日したことがありません。

 10代で映画ファンになった私はテレビの映画劇場で放映されるドリスの作品を追いかけました。『夜を楽しく』『恋人よ帰れ』『先生のお気に入り』等のコメディ映画から『知りすぎた男』『誰かが狙っている』等のサスペンス映画まで、幅広いジャンルが並びましたが不思議とミュージカル映画は登場しませんでした。
 銀座の洋書店イエナで売られていた高価なドリスの映画書を立ち読みすると映画デビューしてから数年はミュージカル映画ばかり主演している情報を得ました。タイトルを覚えた私は次に渋谷の輸入レコード店すみやに入ってくるドリスのミュージカル映画のサントラ盤を買いまくりました。
 「何かタップの音が多いぞ!」
 海賊盤の安っぽいレコードなのでライナーノートやら曲紹介は皆無、ただただ何度も聴くだけでした。
 やがてテレビ神奈川なるテレビ局でドリスとタップ・ダンサーのレイ・ボルジャーが主演する『パリの4月』なる映画が放映される情報が。「でも家のテレビではテレビ神奈川なんて映らない?」仕方なく地元の電気屋さんに出掛けて相談すると「UHF用のアンテナを設置すると映ります!」とか。そして、ついに我が家にアンテナがやって来ました。何か凄くデカくて派手なアンテナがベランダの柱に建てられました。1977年当時で2万円しました。実はこのUHF局は古いハリウッド映画の宝庫でしたのでドリスの為だけではなかったのですが。
 で、『パリの4月』はレイ・ボルジャーのタップダンス・ナンバーが多くてドリスは歌ばかりでした。

 やがて『ミュージカル映画事典』(平凡社)の筆者重木昭信氏と知り合い、熱烈なドリス・デイ・ファンの重木氏のビデオ・コレクションのお陰でドリスのミュージカル映画全てを見せて頂きました。先の『ブロードウェイの子守唄』も重木氏のコレクションのお陰です。ドリスのタップ・ダンサーとしての魅力を最大限に引き出したのが『二人でお茶を』と『ブロードウェイの子守唄』で共演したジーン・ネルソンでした。
 我が家のドリス・デイ追悼上映会はこの2作品で決まりですね。
 素敵な歌声と笑顔とタップダンスを魅せてくれた愛犬家ドリス・デイのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



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