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Vol.1596 もうすぐ生誕100年ユル・ブリンナー〜スキンヘッドを探せ!
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1970年代の事、アメリカのテレビ・ショーに登場した『刑事コロンボ』で有名な俳優のピーター・フォーク。手には櫛を持っている。コロンボの有名なジェスチャーを交えながら
「いや、この櫛ね、ユル・ブリンナーから貰ったんですよぉ」
もうこれだけで場内大爆笑。
そう、今回ご紹介するユル・ブリンナーはスキンヘッドがトレード・マークのブロードウェイとハリウッドの俳優です。スイス人とモンゴル人のハーフとか。低音の渋い声が魅力的です。
羨ましい!
イギリスのミュージカル女優ガートルード・ローレンスが自分で演じるために製作したシャム王国を舞台にしたロジャース&ハマーシュタイン音楽のブロードウェイ・ミュージカル『王様と私』。主役を演じる王様役のオーディションで、アルフレッド・ドレイクやレックス・ハリスンをはじめとする名優たちの前に現れたスキンヘッド男。ギターを抱えて登場し、舞台の上であぐらをかいてジプシーの唄を歌って印象付けたのが無名時代のユル・ブリンナー(重木昭信著『ブロードウェイ・ミュージカル』事典)。このミュージカルは、1951年3月に開幕し1246回の大ロングラン上演となりました。
アメリカに渡りニューヨークのアクターズ・スタジオで修行を積んでいた日本の女優山口淑子(李香蘭)さんが、若き日のブリンナーとデートした時も「ギターを弾いてジプシーの唄を歌ってくれた」と山口さんの自叙伝にあります。
さて、ハリウッドで映画化された『王様と私』で全世界に知れわたったブリンナー。スキンヘッドに上半身裸、偉そうに腕を組んでドカッと立っている姿はまさにハマり役でした。デボラ・カーのアンナ先生役は、もう少し後に製作されたらジュリー・アンドリュースが演じていたに違いありません。
私がテレビで『王様と私』を観たのが14歳くらいでしたが、あまりにもこの王様役のインパクトが強すぎて、以降ブリンナーの出演する映画を構えて観るようになってしまいました。名作『荒野の七人』で馬に乗ってスターがずらっと並んだ時でも「あっ、シャムの王様?」なんて突っ込みを入れる始末。余談ですが中学の同級生伊藤君はテレビで『荒野の七人』が放映された翌日私の所に来て「天野、昨日『あらやの七人』観たかぁ?」と訳の分からない事を。「あらや?」私は「それって《こうや》って読むんだよ」と教えてあげたのですが、既にほかの同級生にも同じ質問をしていたらしく、あちこちで「伊藤のやつ、あらやって言ってたぜ、バカかぁ?」と話題に。
今頃どうしてるのかな?伊藤君は。
ブリンナーはその『荒野の七人』と同じ黒ずくめの衣裳にテンガローハット姿で『ウエスト・ワールド』というSF映画に主演したのですが、あの容貌がサイボーグの役にピッタリでした。私はロードショー上映の映画館で観てえらく感心したものです。
残念ながらほかに出演した映画が思い浮かばない?と思っていた矢先、地元のBook Offで見つけたのが『ユル・ブリンナー/スペクタキャラーBOX SET』なる三枚組のDVD BOXです。
《そのエキゾチックな風貌で一世を風靡した漢(おとこ)ユル・ブリンナーの眩しい魅力が満載》という帯に書かれたコピーがブリンナーそのものを的確に表現しているのが素晴らしい。
観たことの無い作品ばかりなので即購入して順番に観ています。
私はブリンナーが『王様と私』のシャムの王様のイメージを大切にしてスキンヘッドにしてきたのだな?と勝手に解釈して参りましたが、DVD BOXの1枚『ソロモンとシバの女王』を観るとそうとも言えなくなってきました。
この史劇におけるブリンナーは主役であり、映画の最初から画面に登場しているのですが、私はブリンナーの存在に全く気づきませんでした。
だって、髪の毛があるんですよ。しかも、フサフサしているんです。
とても知的に見えて、野性的なブリンナーのイメージとはかけ離れ過ぎている。
なるほど!
スキンヘッドはどこにいても目立つ為だったのですね。
今回は名作ミュージカル『王様と私』の大スター、ユル・ブリンナーを取り上げました。
天野 俊哉
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