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Vol.1590 佐藤純彌監督追悼
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日本映画の佐藤純彌監督が2月に亡くなりました。
昨年末に佐藤監督にインタビューをした『映画監督佐藤純彌/映画よ憤怒の河を渉れ』という分厚い本が出版され、是非読んでみたいと思っていた矢先の事でした。佐藤監督には高倉健さんが主演した『君よ憤怒の河を渉れ』という実にカッコいい、日本を代表するハードボイルドな映画があり、この本のタイトルも正にその映画から取られたものなのですね。
佐藤監督の訃報を取り上げたテレビ番組では、その代表作として『敦煌』ばかりを取り上げてましたので、他にどんな作品を撮った方なのか調べてみました。
『新幹線大爆破』
『君よ憤怒の河を渉れ』
『人間の証明』
『野性の証明』
『男たちの大和』
なんか、なんか、なんか凄いタイトルがズラーッと並びました!1970年代の日本映画界を代表する大作ばかりじゃないですかぁ?“ママァ、ドゥ・ユー・リメンバー”のメロディが頭を過る。歌っていたジョー山中が薬かなんかで逮捕されたっけ。
ハリウッド映画に押されていた日本映画がある意味返り咲いたのは、『犬神家の一族』そして『人間の証明』を初めとする角川映画でした。懐かしい!
しかし、しかしですよ。その凄い佐藤監督の作品の中に何故か存在する?『北京原人 Who Are You?』
このタイトルをみた瞬間から、このアンビリーバボーな作品を監督してしまった佐藤純彌監督の追悼コラムが書けなくなってしまったのです。
ありえない。
しかもそんな状況の私の前にその『北京原人 Who Are You?』のDVDが現れてしまい、手に取り、愕然としてしまいました。もちろん買いませんでしたよ!
でも、日本を代表する監督ですのでY'sの貴重なエンタメ・コラムに残さなくては!
そう思いつつ3月になってしまいました。『東京リズム劇場』の振付やセリフと共に佐藤純彌監督追悼コラムの事が頭から離れない日々が続き、ついに大泉学園の本屋でインタビュー本を立ち読みしました。何と!このインタビューが西武池袋線のひばりヶ丘駅前の西友1階にあるドトールで行われていた事が判明しました。私が毎週金曜日に通っているドトールであります。もしかしたら私の直ぐ近くに佐藤監督がいらして、インタビューを受けていたのかも知れない?この日は帰宅後、押し入れの中から関連する作品のビデオなりDVDを探したら3作品が出てきました。
そして観賞する事に。
『人間の証明』は初のニューヨーク・ロケをした日本映画として知られる作品。オープニングのファッション・ショーの場面がやたら長く、ドラマが動き出すまでのテンポは凄く悪いのに、ゆったりした進み方が大作らしい貫禄を醸し出していて、そこが佐藤監督のスタイルなのかも知れませんね。
『野性の証明』は高倉健という大スターと新人の薬師丸ひろ子さんをセットにした、サスペンスなのに自衛隊が戦争を始めたりよくわからない展開をする大作。
これが佐藤監督のスタイルなのかも知れません。
かつて『野性の証明』を製作した頃に、角川映画の角川春樹氏が「日本ではどんなに大ヒットしても20億止まり」と語っていたのですが、21世紀に入って角川氏が製作して佐藤監督で撮った『男たちの大和』は50億の大ヒットを記録したそうですので驚きました!
このお二人の相性も良かったに違いありませんが。
何だか北京原人に振り回されてしまいましたが、ここらでよろしいかと。
佐藤純彌監督のご冥福をお祈りいたします。
天野 俊哉
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