TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1583 もうすぐ生誕100年ロス・ハンター〜メロドラマの名プロデューサー
 日本で映画プロデューサーというと製作資金を集めるような位置付けであったりしてあまりクリエイティブな仕事をしているイメージがありません。ハリウッド映画の黄金時代、例えばミュージカル映画ならばアーサー・フリードの様な名プロデューサーが存在して、「彼がいなければMGMミュージカルの黄金時代はなかった!」と言われるほどでした。
 今回ご紹介するロス・ハンターは、1950年代から60年代にかけて甘い甘いメロドラマのプロデューサーとして一部の映画マニアには良く知られております。若き日のロスは映画俳優として、主にB級作品に出演していました。ハリウッドではこのB級とか脇役出身のキャリアが後年プラスに転じたりするから面白いのですね。

 ロスの作品には3つの特徴がありました。
 @過去のスターを上手く活用
 Aアニアックな監督を活用
 Bルックスの良い新人を活用

 私の勝手な分析に過ぎませんが。ただ、これをベースにメロドラマという辺りが特殊すぎる!
 まず@ですが、過去に活躍していたのに最近パッとしないわ、と感じている女優さんに電話を一本。
 「こちらロス・ハンターですが」
 1950年代に既に過去の存在になっていたバーバラ・スタンウィック、ジェーン・ワイマン、ラナ・ターナー、スーザン・ヘイワード、ローレン・バコールらの大女優さんに堂々の主演作品をオファー。そして見事に演じさせました!
 さらには、歌って踊るしか取り柄がないわ、と感じていたミュージカル女優さんにも電話を一本。
 「こちらロス・ハンターですが」
 ドリス・デイにはサスペンスを、デビー・レイノルズにはコメディをやらせて大ヒットさせました。
 またこうした大スターをささえる脇役陣にもお金を惜しまず芸達者な人達を揃えたのも流石でした。

 A大体メロドラマの名監督なんて威張っていてギャラが高すぎるのでロスは自分でセレクトしました。ドイツ出身のダグラス・サークです。独特の色彩感覚と凝りまくりの演出で、バカみたいなストーリー展開も納得させてしまう!凄い人。
 彼の演出にかかったら過去の大女優さんもイチコロ。
 ダグラス・サーク監督は、ここ10年くらい日本でも一部のマニアには人気が絶大でDVD BOXにはアホらしい位の高値が付いているほどであります。かつてのテレビの深夜映画劇場のレギュラー作品がダグラス・サーク監督の『心のともしび』『風と共に散る』『悲しみは空の彼方に』『大空の凱歌』などでした。もう何回観たことか?

 Bルックスの良い新人なんて見つけるのが大変!と思いきやロスには1950年代のイケメン俳優ロック・ハドソン、ジョン・ギャヴィンという切り札があり、彼らを上記の大女優さんたちとくませたものです。また、サンドラ・ディーという若い女の子を1960年代のフレッシュな大スターにおしあげましたのもロスです。
 ミュージカル映画そして舞台の『グリース』には“Look At Me I'm Sandra Dee”という歌が登場するのですが、全世界のアイドルでした。

 さすがにミュージカル作品は無いだろう?と思いきや『フラワー・ドラム・ソング』や『モダン・ミリー』もロスのプロデュース作品。
 『フラワー・ドラム・ソング』からは『2018年の東京リズム劇場』で松本晋一先生振付の素敵なミュージカル・ナンバー“I Enjoy Being a Girl”が登場して、岩田映子さん金子真弓さん河上莉音さんが歌い、橋爪麻美さんら女性ダンサーの皆さんが華麗に踊りましたっけ。
 また、『モダン・ミリー』は、主演のメアリー・タイラー・ムーア、ジョン・ギャビン、キャロル・チャニングが近年続けて亡くなり、追悼コラムを書いた方たちばかりですね。主演のジュリー・アンドリュースがタップ・ダンスを披露する珍しいミュージカル映画でした。

 もし古いアメリカ映画がテレビで放映され
Produced by ROSS HUNTER
と字幕が出てきたら要注意!もう目が離せなくなりますよ。
 今回はハリウッドのメロドラマ映画の名プロデューサー、ロス・ハンターを取り上げました。

天野 俊哉



Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.