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Vol.1572 もうすぐ生誕100年トニー・ランドール〜なんかおかしい?
 アメリカ映画史の一時代を築いていながら今日に至るでほとんど評価されていないのが、1950年代から60年代に人気の高かったのコメディ映画であります。

 私が映画ファンになった1970年代、これらのコメディ映画は毎日テレビの映画劇場で放映されていました。中でもミュージカル映画『雨に唄えば』でヒロインを演じたデビー・レイノルズ主演の作品が大好きでした。デビーの相手役は、ハンサムなトニー・カーティスやグレン・フォード、素敵なおじ様フレッド・アステアやビング・クロスビーらのスター俳優ばかりでしたが、『恋に税金はかからない』という面白いタイトルのコメディでの相手役は、ちょっと神経質そうで取っつきにくいタイプのトニー・ランドールでした。髪の毛を七三に分け、ポマードでキッチリ固めたヘアースタイル、ギョロっとしたお目目、いつも口元をギユッと閉じた姿はコメディには不向きなのに映画がエンドマークが出る頃には思わず手を叩いていました。マリリン・モンローがフランスの歌手イヴ・モンタンと主演した『恋をしましょう』では、大富豪役のモンタンの忠実な部下を演じたトニー。最初は超真面目だったのに途中からお酒のせいでおかしな事に?主演二人をすっかり喰ってしまいました。

 アメリカでも日本でも人気の高かったロック・ハドソンとドリス・デイのコンビが主演したコメディ映画シリーズ『夜を楽しく』『恋人よ帰れ』『花は贈らないで』に3番目のキャストとして名前を連ねたトニー。ある時はドリスの婚約者、ある時はハドソンの上司、ある時はドリスの隣人役と、何を演じてもヘアー・スタイルも、背広の衣裳も、神経質そうなところも同じなのに、最高に笑えました!

 昨年亡くなった天才ニール・サイモン原作の名作『おかしな二人』が1970年代にテレビ・シリーズとして企画された時、名コメディアン、ジャック・レモンが演じた神経質で綺麗好きのフェリックス役にトニー・ランドールがキャスティングされました。芸風がジャック・レモンに似ていたので全く違和感が無いのと、テレビ画面にうまく収まる雰囲気で、新たな当たり役となりました。日本では日曜日の夜11時からテレビ放送され、毎週必ず観ていました。

 それから30年後、ロック・ハドソンとドリス・デイが主演したコメディ映画のスタイルを再現した映画が製作され、レニー・セルヴィガーとユアン・マクレガーが主演して『恋は邪魔者』という作品になりました。劇場で観た時にレニー・セルヴィガーが雇われる出版社の会長役として映画の後半にサプライズ出演したのがまさかのトニーだったのでびっくりしました。万年平社員といった雰囲気だったトニーもすっかり白髪になり、貫禄も出て、大いに映画を盛り上げてました。映画DVDの特典映像にはトニーの撮影風景やスタッフ、キャストのコメントも収められており、みんながハリウッド映画のコメディ作品に残したトニー・ランドールの功績を称えておりました。トニーはこの映画の完成後少しして亡くなりました。

 今回は往年のコメディ映画のスター、トニー・ランドールを取り上げました。

天野 俊哉



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