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Vol.156 私はこう思う〜ある映画書を読んで
 今回は、最近発売された映画の本を2冊取り上げてみたいと思います。書店で見つけてすぐ購入して、とても期待してページをめくったのに、大いに納得のいかない結果となってしまいました。

「ロードショーが待ち遠しい」(文芸春秋)
 表紙は1974年「エクソシスト」初日のにぎわう映画館の写真で、私世代にはとても懐かしいものです。シネコンでは決して味わうことのできない風景となりました。
 映画会社ワーナー・ブラザーズの宣伝部で、多くの名作をヒットさせた宣伝マン早川龍雄氏のキャリアを早川氏自身が語って、作家の藤森益弘氏がまとめるという形をとっています。文章も構成も安定している反面、主役である早川氏の語りの部分が少なくなってしまい物足りなさを感じます。解説によると、早川氏はとにかく面白いエピソードを面白おかしくしゃべる方とか。作家氏による「当時の映画界は」みたいな資料・解説の部分がページの多くを割いてしまっていて、文章化されたのは早川氏の語りのほんの一部分に違いありません。私は早川氏の語った部分をまとめた本が読みたかったので残念です。

「カサブランカはなぜ名画なのか」(彩流社)
 とてもとっつきやすいタイトルで、オールラウンドに1940年代のハリウッド映画を解説、ガイドブックとしても利用できます。ハリウッドの映画界を、ユダヤか非ユダヤか人種で分けたりするのも興味深いスタイルだなと思いました。
 数多い写真も今まで見たことのない珍しいスチールやショットが多く、筆者である福井次郎氏のこだわりを感じました。また、近年¥500DVDの出現でこの本に登場する多くの作品を観ることができるので、出版は良いタイミングだと思いました。
 ところが、こうした古い映画を手軽に観られる時代に、「この映画の犯人は誰であった」とか「誰々は殺されずに済む」とか結末をごく自然に書いてしまっていることに驚き、あきれてしまいました。私はそれらの映画をすべて観て結末を知っているので問題ありませんでしたが。サスペンス映画に興味があって例えばイングリット・バーグマンの「ガス燈」とかをこれから観ようとしている方は、<第3章>を絶対に読んではいけません。要注意書籍です。
 本当はお薦めしたかったのに残念です。

天野 俊哉






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