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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1545 森新吾さん『アクトカンタービレ』とお能衣裳鑑賞と二胡コンサート
 今年の11月23日(金)、勤労感謝の日は実に充実した1日でした。

 日々タップ・ダンスにどっぷり浸かった生活をおくっているのだから、たまにはタップ・ダンスから離れてみようか?
 そんな事から先ずは渋谷区立松濤美術館へ。午前10時の開館目指して美術館前に到着すると、《今日は区民の日につき渋谷区民は無料》と看板が立っていました。江東区なんすけどね。
 この日の展示は『大名家の能装束と能面』。つまりは桃山時代から江戸時代に大ブームだったお能の世界から残された衣裳の類いを現代の皆さまにお見せしますよ!という厳かなイベントですね。男役の衣裳は地味で女役の衣裳は華やかな辺りは紅白歌合戦と変わらないですな。また、般若の険しい面を見ていたら昔これを被って“カムイ”というナンバーを踊った事を思い出しました。また、ロビーで流れているお能の映像を眺めながら、小津安二郎監督の名作『晩春』のお能観賞の一場面が脳裏に浮かび、無表情な能面に比べて次第に怒りで変化してゆく原節子さんの凄い形相に小津演出の深さを感じ入りました。
 文化村近くの松濤カフェで早いランチを済ませ、いざ埼玉県に移動。

 先日のコクーン広場で開催された野外発表会で私らタップダンス・クラスのひとつ前に出演されたのが、中国の伝統芸能の楽器である二胡のクラスでした。そこで講師の先生が二胡で演奏された“情熱大陸”に感動しました。ナイスなタイミングで川口市文化祭で開催された『二胡の祭典』に潜入しました。もち無料。
 JR川口駅前のリリアという豪華な市民ホールでの開催。広い場内はほぼ満席でした。ただ空調が寒くて寒くて、それがキツかった!
 二胡の演奏には指揮者がおらず、ピアノやギターやパーカッションが加わったりします。10名以上で演奏する生徒の皆さんは安定していてお上手でした。ただし、日本の民謡や歌謡曲、アメリカのスタンダード曲の演奏が平坦で、やはり中国の音楽が楽器の魅力を最大限に活かすようでした。
 意外だったのがロシア民謡の演奏で、聴いていてとても楽しかったです。
 お茶の水駅前のカフェで早い夕食を食べて、竹橋までかなりの距離を歩きました。目指すは竹橋の科学技術館サイエンス・ホール。

 Y's本部戸塚スタジオの渡部直子さんのお薦めで、男性だけのパフォーマンス・グループDIAMOND☆DOGS(以下、D☆D)の森新吾さんが総合演出と主演をされる『アクトカンタービレ』というストレート・プレイを観にうかがいました。D☆Dが歌って踊れるパフォーマンス・グループとして、CONVOY SHOWの後に登場した大人気のグループである事までは私でも知っていますが、今まで観劇する機会もなく、そのグループがこの夏で一時的に活動を停止してしまった!という位の情報しか知らない私みたいな人間が何故急にこうなったか?
 渡部直子さんと淺野康子さんから「森新吾さんのキレッキレのダンスがとにかくカッコいいから是非一度見てください!」とうかがったのがきっかけです。しかし今回はそのキレッキレのダンスを封印したアクトのパフォーマンスとの事。
 まあそれも良いではないか?
 先ずは予習をする為に森新吾さんへのインタビュー記事が掲載された演劇雑誌『えんぶ』を¥499で購入しました。
 『アクトカンタービレ』の前には『ダンスカンタービレ』なる公演もあったらしい?今回は男性だけ8名のお芝居を劇団ホチキスの演出家米山和仁氏に依頼したそうです。米山氏は過去にCONVOYのメンバーの舞台も担当した方みたいなので何かのご縁ですかね。

 さてさて、お茶の水から神保町の古本屋街を(やっと)越え、九段下に差し掛かった辺りからやたら混み始めた!日本武道館では何と平成最後の自衛隊音楽会を開催中とか。入場するのに手荷物検査があるらしく物凄い、もう見たこともない様な凄い列が延びていました。最後尾は私が目指す科学技術館サイエンスホールまで延びていました。
 さて、次に驚いたのが『アクトカンタービレ』の為に並んでいるお客さんは女性ばかりなのです!男子禁制なんて事は無いのだろうね?あちらからお母様と歩いてきた渡部直子さんに恐る恐る訊ねると「そんなバカな!」と笑われました。
 私達の前の席にお美しい女性が座ったのを見た渡部さん「風花舞さんですよ」と教えてくれました。1990年代に宝塚月組トップ娘役だった方だけどまだまだ素敵だ。森新吾さんとは12月の銀座博品館劇場での『ダンスカンタービレ』でご一緒されるそうです。風花さんは、宝塚歴代ダンサーのベスト5に入る方ですから森新吾さんとの共演はとても楽しみです。
 受付までパンフレットを買いに行き男性キャスト8名のプロフィールやらをチェックしているうちにユニークな前説が入る。
 「まっさかと思いますがPHSの着信音が入らないように!」が笑わせる。

 場内をよく見るとちと古いホールの壁の茶色のレンガ造りが舞台の倉庫らしきセットと上手く繋がっているではないか?
 作品はクエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』をベースにして、創作させたというのが映画通の私には嬉しい。森新吾さんが演出の米山氏にリクエストしたそうな。
 笑えるのは8名のキャスト全員にタバコの名前が付いていて、《峯》だけはケーシー高峰に変更されているあたり昭和テイストね。
 さらに一人ずつ好きなお菓子の名前を告白してゆく場面もチャーミングで遊び心一杯でした。
 100分ノンストップで歌も踊りも無しで突っ走る脚本のバイタリティに驚きましたし、それを更にパワフルに客席にぶつけるキャストも素晴らしい!
 舞台での森新吾さんのキビキビした動きを見ていたら1930年代ハリウッド映画の大スター、ジェームズ・キャグニーを思い出しました。ヴォードビルのダンサーからブロードウェイの舞台で活躍したキャグニーはダンサーでした。そう言えば、タランティーノ監督作品でスターとしてアクターとして90年代に返り咲いたジョン・トラボルタも昔はミュージカル映画のダンサーでしたね。
 長くD☆Dでダンサーとして活躍してきた森新吾さんがスピンオフにチャレンジしたのがアクターであったのは意外に自然なながれであったのではないでしょうか?もう一度ダンサーとしての活動に戻られた時、きっとひとまわり大きく成長しているはずです。
 今回、ダンサーの森新吾さんではなく、アクターの森新吾さんと最初に出会えた事は私にとって貴重な出来事でした。

 お芝居が終わった後誰も席をたたない中、キャスト4名によるトークショーが始まりました。森新吾さんは新宿のシアターアプルの最期の時期に舞台に立ったそうで、私とも少しだけリンクしているようです。また、米山氏の台本がなかなか出来上がらず皆が焦った?等いくつもの貴重なお話も聞けて良かったです。皆さまお疲れ様でした!たっぷり楽しませて頂きました!

 森新吾さんが構成・演出・振付及び主演する
『ダンスカンタービレ』
は12月12日(水)から12月16日(日)まで銀座博品館劇場にて上演されます。
 元宝塚歌劇団月組トップ娘役の風花舞さん、元宝塚歌劇団雪組トップ娘役の舞羽美海さんら9名の女性ダンサーと『アクトカンタービレ』にも出演された町田慎吾さん、さらには日替りゲストの男性ダンサーが。
 D☆Dのメンバーや長澤仙明さんのお兄様長澤風海さんもゲスト出演との事、皆さま大注目の舞台ですね。

天野 俊哉



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