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Vol.1524 『ミュージカル映画特集』シネマヴェーラ渋谷そのA
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瀬川昌久先生セレクションによる『ミュージカル映画特集』が今年も10月27日(土)から11月16日(金)までの3週間、名画座シネマヴェーラ渋谷にて開催されます。
前回に引き続き、第1週10月27日(土)から11月2日(金)までのプログラムからワーナーとMGMの白黒ミュージカル映画3作品を取り上げます。
『四十二番街』
“42nd Street”(1933)
ウォーナー・バクスター
ビーブ・ダニエルズ
ルービー・キーラー
ディック・パウエル
映画が音を持った1927年のトーキー映画初期には山のようなミュージカル映画が製作されましたが、その幼稚な創りにアメリカの観客は直ぐに飽きてしまいました。
1933年ワーナー映画の製作部長ダリル・F・ザナックは『四十二番街』を企画します。才能のあるダンス監督バスビー・バークレーに画期的なレヴュー場面を任せます。歌や踊りは舞台上で繰り広げられるスタイルで、当時は舞台裏ミュージカルと呼ばれました。
ウォーナー・バクスターを中心としたドラマの部分のクオリティが高く、バークレー監督のレヴュー場面とのバランスも素晴らしい。
見物は舞台での3つのレヴュー場面と大勢のタップ・ダンサーの稽古場面です。主題曲にあわせタクシーの屋根の上でタップを踏むルービー・キーラーは踊るスターの第1号になりました。
私は1976年、アメリカ建国200年記念のイベントでこの映画を観たのが最初ですが、映画のパワーに圧倒されました。
映画が製作されて47年後の1980年にガワー・チャンピオンの演出でブロードウェイ・ミュージカルとして生まれ変わりました。
今日の名声は映画というよりはこのブロードウェイ版によるところが大きいですね。
『リッスン・ダーリン』
“Listen Darling”(1938)
ジュディ・ガーランド
フレディ・バーソロミュー
メアリー・アスター
ウォルター・ピジョン
MGM映画で明日のスターを夢見ていた10代のジュディ・ガーランドの主演作で、本来なら2本立ての添え物程度のミュージカル映画です。もちろん日本未公開です。なんて書くと「映画館で¥1200も払って観るのはバカらしいですよ」なんて聞こえるかも知れませんが、私など25年前に字幕なしの輸入ビデオに¥5000も支払っているのですね。
しっとりした名曲から軽快な曲までジュディの見所満載ですが、映画をじっくり見ると私などはジュディよりもお母さん役のメアリー・アスターに注目してしまいます。
ジュディはこのすぐあと出世作『オズの魔法使』に出会い、メアリー・アスターは名作『マルタの鷹』に出会い、ウォルター・ピジョンはグリア・ガースンと出会うことになるので、ある意味価値のある作品であるのかも知れません。さらにジュディとメアリー・アスターはジュディのもうひとつの代表作『若草の頃』でも親子役で共演を。ご縁がありますね。
『美人劇場』
“Ziegfeld Girl”(1941)
ジェームズ・スチュアート
ジュディ・ガーランド
ヘディ・ラマー
ラナ・ターナー
MGMには、ブロードウェイで活躍した絢爛豪華なレヴューのプロデューサー、フロレンツ・ジーグフェルドの名前を使ったミュージカル映画が3本
『巨星ジーグフェルド』
『美人劇場』(ジーグフェルド・ガール)
『ジーグフェルド・フォリーズ』
何れも製作費をふんだんに使った大作であります。
先の『四十二番街』のバスビー・バークレーがレヴュー場面の監督に起用されています。ちなみに映画のラストに登場するレヴュー場面のメドレーは、これより5年前の『巨星ジーグフェルド』のフィルムを使い回しており、豪華なデコレーション・ケーキの場面に至ってはジュディだけを合成しております。
ドラマの主役はラナ・ターナーとジェームズ・スチュアートですが、ミュージカルの主役はジュディ・ガーランドと歌手のトニー・マーティンが担当。
どうしても大掛かりなナンバーに目が行きがちですが、私はジュディの父親役を演じるチャールズ・ウィニンジャーと往年のヴォードビリアンのアル・シーンの小粋なデュエットが好きです。幾つになっても舞台から離れられない老ヴォードビリアンの頑固さが何となく分かる、今日この頃であります。
天野 俊哉
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