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Vol.1523 『ミュージカル映画特集』シネマヴェーラ渋谷その@
 瀬川昌久先生セレクションによる『ミュージカル映画特集』が今年も10月27日(土)から11月16日(金)までの3週間、名画座シネマヴェーラ渋谷にて開催されます。
 2006年のオープン以来、このシネマヴェーラは《入れ替えなしの二本立て》という名画座本来の興行が売りでしたが、7月より《入れ替え制の一本立て》になりました。今年のゴールデン・ウィークにジャン・ギャバンとダニエル・ダリュー主演の古いフランス映画を観に3年ぶりくらいに入館しました。「けっこう繁盛してるじゃん?」という印象を受けましたが、裏は色々大変なのでしょうね。
 それでは、第1週10月27日(土)から11月2日(金)までのプログラムからMGMのテクニカラー・ミュージカル映画3作品を取り上げます。

『私を野球に連れてって』
“Take Me Out to the Ball Game”(1949)
フランク・シナトラ
エスター・ウィリアムス
ジーン・ケリー

 MGMミュージカルのアンソロジー『ザッツ・エンタテインメント』に収録されたシナトラ&ケリーのタップダンス場面に14歳の私は夢中になりました。
 “Take Me Out to the Ball Game”は、日本でもすっかりお馴染みになったアメリカの野球ソングですが、1970年代当時は誰も知りませんでした。中学3年の修学旅行の時、アメリカにホームステイをした同級生がそのステイ先で教わったというこの歌を聴かせてくれ、親切に手帳に歌詞を書いてくれたものです。やがて映画のサントラ盤レコードを入手して擦りきれるまで聴きました。『ミュージカル映画事典』の著者でおられる重木昭信さんの貴重なコレクションをお借りしてやっと映画を観れたのが20歳の時、すごく期待したのに不思議な作品でした。野球選手がシーズンオフにヴォードビリアンだったり、野球球団のオーナーが女性だったり。しかも脚本を書いたのがジーン・ケリーとスタンリー・ドネンのお2人。監督にレヴュー映画の天才振付師バスビー・バークレーを招いたのに肝心のレヴュー場面が無い。
 決定的だったのがニューヨーク・タイムスの批評
「シナトラとケリーが直ぐに忘れてしまいそうな詰まらない歌を次から次へと披露する映画」
と、的を得てました。
 でも大好きなミュージカル映画なんですね、今でもよく観るんです。
 シナトラ&ケリーによるタップのデュエットが楽しく、ケリーが歌いダイナミックに踊るソロ・ナンバーでのジャック・ナイフのステップがカッコいい。

『踊る海賊』
“The Pirates”(1948)
ジュディ・ガーランド
ジーン・ケリー

 カリブ海の架空の島を舞台にしたミュージカル・メロドラマ。ヴィンセント・ミネリが監督、コール・ポーターが音楽を提供したMGMの野心作。ジュディの歌とケリーのモダン・バレエが売りですが、私にはケリーとニコラス・ブラザーズによる見世物小屋でのショーダンスが一番の魅力でした。ジュディが撮影中に何度も休んだり遅刻をしたため製作費すら回収出来ませんでした。タップダンスはありません。

『キス・ミー・ケイト』
“Kiss Me Kate”(1953)
キャスリン・グレイスン
ハワード・キール
アン・ミラー

 コール・ポーターが音楽を担当した名曲だらけのブロードウェイ・ミュージカルの映画化。原作はウィリアム・シェイクスピア。歌だけでも素晴らしいのに映画版では、
トミー・ロール
ボビー・ヴァン
ボブ・フォッシー
アン・ミラー
ジーン・コイン
キャロル・ヘニー

というMGMの若手ダンサーを揃えハーメス・パンが見事なダンス場面を振付しました。最初は3Dの飛び出す映画として製作されたので、ダンサーが踊りながら観客に向けて足を蹴ったり、物を放ったりするアクションがあちらこちらに入ります。映画館で観ると大変効果のある作品ですね。
 アン・ミラーはソロやトミー・ロールとの屋上のデュエットも良いけど若手ダンサー達とのアンサンブル・ナンバーに良い成果を残しています。
 ダンス・ナンバーとしてほとんど画面には映ってませんが、映画のラストの方でアン・ミラーとボブ・フォッシーら男性3人が舞台で踊る時に使われた曲が私とは縁の深い“Bianca”です。11月開催のY'sのスタジオ・パフォーマンスにもこの“Bianca”が登場するとのこと。楽しみです!
 日本では長らく劇場未公開でしたが、バブル期の1988年になって公開の運びとなりました。

天野 俊哉



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