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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.152 気になるDVD:2大タップ・ダンサー競演「ジーグフェルド・フォリーズ」
 全篇歌と踊りと短い芝居で構成されたレヴュー映画です。<MGM創立20周年記念映画>として企画され、MGMが契約していた多くのミュージカル・スターが出演しました。ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホールの美術出身であり、「若草の頃」という大ヒット作を作って注目株だった、ヴィンセント・ミネリが監督をしました。
 フレッド・アステアが唄い、シド・チャリスとガールズが踊る美しいオープニングから、キャスリン・グレイスンが歌うスペクタキュラーなフィナーレまで、13場面が展開します。本格的なダンス・ナンバーは3つで、すべてフレッド・アステア主演、ロバート・オルトン振付の名作です。
 一つめは“This Heart of Mine”で、ルシル・ブレマーという若いダンサーがアステアと踊ります。アステアお得意の詐欺師役の男が真実の愛に目覚めるまでのストーリーを、すべて歌と踊りで表現しています。移動舞台や回り舞台を使っているあたり、ミネリらしい演出です。先日亡くなった宝塚のトップスター、大浦みずきさんが「メモアール・ド・パリ」(1986)というショーで踊っていて、ヅカファンにはそちらの方が有名かも知れませんね。
 二つめは、貧しい中国人に扮したアステアが、美しいルシル・ブレマーの為に盗みをはたらき、流れ弾に当たって死んでいく悲恋です。ジャズの名曲“Lime House Blues”が、すばらしいオーケストレーションで、ドラマティックに展開します。扇子を使ったオリエンタル・ムードいっぱいの振り付けですが、踊り以上にセットや衣装(アイリーン・シャラフ担当)が強く印象に残るナンバーです。
 三つめが、タップ・ファンにお薦めの“The Babbitt and the Bromide”で、アステアとジーン・ケリーの唯一の競演です。アステアとケリーが若い頃出会ってから3つの時代をそれぞれの衣裳(2人の背景となる銅像も!)で踊り分ける、ミネリ演出が冴えています。「ザッツ・エンタテインメント」(1974)には、とてもうまく編集されたバージョンが収録されていますが、是非このノーカット版を観てください。このナンバーは日本のタップ・ダンサーによって何度もコピーされ、舞台で演じられています。「Shoes On Final」では、歌の部分を何と関西弁で歌って大いに笑わせてくれましたっけ。
 タップ・ファンにとって残念なのは、アステアが26名の男性ダンサーを従えてドラムを叩きながら踊るナンバーが、こともあろうにアステアの希望でカットされてしまったことです。現在は音源のみ存在します。
 日本では制作されて40年後に突如劇場公開され、あわてて観に行ったものです。DVDは安い輸入盤がありますが、お芝居の部分は字幕があったほうが楽しめるので、ジュネス企画のものが良いでしょう。

天野 俊哉






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