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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1516 樹木希林さん追悼にかえて
 旧敬老の日の9月15日にベテラン女優の樹木希林さんが亡くなりました。
 近年、たくさんの日本映画で賞を獲りまくっている希林さんですが、私はその活躍をほとんど観ておりません。ひどいやつですね。「それで追悼コラムなんて!」と皆さんぶちギレ寸前のお顔が浮かんでまいりますが、取り上げずにはいられないのです。

 樹木希林さんはその昔、悠木千帆さんという別の名前で活躍されてました。私はその頃しか知らないのですね。
 まずは小学生時代にこっそり覗き観ていた久世光彦演出のテレビ・ドラマ『時間ですよ』で希林さんにご対面。堺正章さん浅田美代子さんと3人でお風呂やさんに住み込んでるお手伝いさん役。素人同然の新人歌手だった浅田さんを(多分アドリブで)本気でドツク演技にハマりました。

 次に石屋さんを舞台にした久世光彦演出のテレビ・ドラマ『寺内貫太郎一家』では貫太郎一家のおばあちゃん役。先日亡くなった西城秀樹さんとのやり取りに笑いました。希林さん演じるおばあちゃんの部屋に貼ってある沢田研二さんの大きなポスターを見つめ体を揺すりながら「ジュリー!」と叫ぶ場面が楽しかった。また、毎週定番だった貫太郎役の小林亜星さんと西城秀樹さんが食事中に始めるちゃぶ台をひっくり返し、庭まで転げ回る大喧嘩の場面では、然り気無く掃除をしたり、お茶碗を拾ったり、アドリブで見せる演技が笑えました。

 さらに生放送や舞台公演まで見せた久世光彦演出のテレビ・ドラマ『ムー』と続篇『ムー一族』では再び自由に暴れることの出来るお手伝いさん役に。確か「かねたさん」が役名だったのでが、誰かに「かねださん!」と間違われる度に「かねたです!」と言い直すしつこさが希林さんらしかった。
 浅田美代子さんに代わり当時新人の岸本加世子さんが後輩お手伝いさん役に抜擢され、希林さんにいじられてました。足袋屋の御曹子役の郷ひろみさん希林さんが毎週歌って踊る“お化けのロック”が大好きでした。お話とは関係なくオーバーオールを着た二人が現れるとミュージカル・ナンバーの始まりでした。ピンク・レディーの人気が高かったのに対抗したに名コンビでした。振付が楽しくて今でも踊れます!
 『ムー一族』には、私のミュージカルの先生のひとり三浦秀一さんが出演されたり取立や役の細川俊之さんとたこ八郎さんがタップダンスを見せたり遊びが多かった。また、郷ひろみさんと希林さんのコンビ人気にあやかり第2弾として“林檎殺人事件”が新しいミュージカル・ナンバーとして毎週登場しました。お二人の凸凹ぶりが良かったです。希林さんが毎週ハンサムな郷さんをさわり放題で笑えました。

 1970年代のTBSドラマをトップに持ち上げた演出の久世光彦さんは当時TBSの一社員でした。久世さんのまわりには向田邦子さん、宇崎竜童さん、阿木耀子さん、そして樹木希林さんなど才能のある人が集まって久世帝国を築いてましたが、事もあろうに『ムー一族』の打ち上げパーティー会場で久世さんの親友であった希林さんが久世さんのスキャンダルを暴露する!という大事件がありました。当然ですがこれを期に久世さんと希林さんのコンビは解消されました。
 そして私は樹木希林さんに興味を無くしました。

 少しして岸本加世子さん扮する店番と希林さん扮する綾小路さゆりコンビのフジカラーのテレビCMが大ヒットしました。
 「美しい方はより美しく、そうでない方は」
 「そうでない方は?」
 「それなりに写ります」
という台詞のやり取りでしたが、久世演出を彷彿とさせるものでした。

 75歳なんてまだまだこれからだったのにご本人も無念だった事でしょうね。
 樹木希林さんのご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉



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