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Vol.151 気になるDVD:ジュディ&ジーン共演の隠れた名作「サマー・ストック」
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豪華絢爛なMGMミュージカルにおいて、「雨に唄えば」「イースター・パレード」「巴里のアメリカ人」をA級作品とすれば、今回ご紹介する「サマー・ストック」は、B級ではないけれどA級になり損ねた、ミュージカル・ファンには受ける作品です。スタッフもキャストも素晴らしく歌や踊りも良いので、「A級になり損ねた」というのは予算の面に限って言えることかも知れません。
舞台となるのは農家のとてつもなく巨大な納屋で、そこでショーまでやってしまいます。MGMとしてはやたらチープなセットなわけですね。ラストのショー場面の衣裳をのぞけば、1950年代にアメリカの若者が着ていたであろう、カジュアルなファッションで全篇通しています。そんなことを考えながら映画を観ると、結構笑えます。
監督がチャールズ・ウォルターズ、主演がジュディ・ガーランドとジーン・ケリー、そして達者な役者が周りを固めています。ジーンと共に振付を担当したニック・カッスルはタップの良いナンバーを作れる人なので、ダンス・ナンバーはかなりレベルが高いです。
これが3回目の共演となるジュディとジーンは、“Portland Fancy”という、えらくハードなタップ・デュオがあり、ジュディが踊りの才能で観客を惹きつけます。“You Wonderful You”のソフト・シューズも大人の味があり、“All For You”も軽いナンバーなのにタップが心地よいです。ジーンのソロが2曲ありますが、アンサンブルを従えて踊る“Dig”は、ジーンの体育会系スタイル(!)全開です。もう一つは、誰もいないステージで、きしむ床の音や新聞などを使って踊るナンバーです。60年も前にこれだけのことを考え出したのは見事としか言いようがありません。
さて、この作品を最後にMGMをクビになるジュディは、“Over the Rainbow”と共に彼女のテーマとなる名ナンバー、“Get Happy”を残しています。帽子に黒のジャケットを着たジュディがカッコ良く、<ミス・ショー・ビジネス>と呼ばれたショー・ウーマンぶりを遺憾なく発揮しています。N.カッスル振付による男性アンサンブルの動きも、要注目です。
「サマー・ストック」は日本では一度も劇場公開されず、先に紹介した「ブロードウェイのバークレー夫妻」と同時期にビデオ発売のみされた作品で、私や松本晋一さんが最も夢中になったMGMミュージカルのひとつです。DVDはジュネス企画から発売。字幕入り版をオススメします。
天野 俊哉
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