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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1507 女優グリア・ガースンのこと
 実家の父親から「グリア・ガースンの映画『心の旅路』が観たい!」とリクエストがあったのでこの暑さの中押入れの整理をしました。最近観なくなったビデオやらDVDが山のように出てくるもグリア・ガースンの映画だけは一本も見当たらない。そのくせ昨年の今頃探していた『恋の骨折り損』のDVDが今頃出てきました!ほら、Y'sの発表会のオープニングで先生やメンバーの方たちが踊られた“I Won't Dance”の映画です。
 後で観よう。
 部屋中が映画だらけになった時思い出しました!以前、義父からも同じリクエストがあったのでした。そう「グリア・ガースンの映画が観たい!」と。気前よくグリア・ガースン作品を集めてプレゼントしてしまった中に『心の旅路』もあったに違いありません。終戦直後に映画を観ていた世代には人気の女優さんでしたからね。松本晋一さんのお爺様もきっとグリア・ガースンのファンに違いありません。

 イギリス生まれイギリス育ちの舞台女優だったグリア・ガースンがハリウッド・デビューしたのは何と35歳の時。上品であることをモットーとしていたMGM映画の社風にピッタリの美しさだった事から1940年代末までMGMのトップスターでした。社長のルイス・B・メイヤーの大のお気に入りで、記念パーティーでの写真撮影では必ずガースンさんを横に座らせておりました。
 社長のお気に入りのガースンさんには必ずその年の名作が与えられました。
1939年
『チップス先生さようなら』
1940年
『高慢と偏見』
1941年
『塵に咲く花』
1942年
『ミニヴァー夫人』
『心の旅路』
1943年
『キュリー夫人』

 いずれもミセス役で、ほとんどの作品で主要キャストの誰かが亡くなります。
 私の一番嫌いな展開であります。許せません。
 まずデビュー作『チップス先生さようなら』では自分があっという間に亡くなります。チップス先生や子供たちと共に悲しみました。『高慢と偏見』では映画が始まって直ぐに妹が自殺してしまいます。『塵に咲く花』では自分の小さな息子を事故で亡くします。『ミニヴァー夫人』では息子の嫁さんを空襲で亡くします。『キュリー夫人』では奥さんであるガースンさんにプレゼントを買いに行った旦那さんが馬車に轢かれて亡くなります。まあ伝記だから仕方ないけど。
 どんな時でも気丈にふるまい何事もなかったかのように立ち直るガースンさんを映画ファンは支持したのでしょう。
 そんな中で比較的ロマンティックに話が展開するのが皆さまの大好きな『心の旅路』であります。ガースンさんの相手役ロナルド・コールマンが渋くて素敵でした。社長のメイヤーの命令で、大事な大事なガースンさんには色気の無い安全な男優、ロバート・ドーナットとか、ローレンス・オリビエとか、ウォルター・ピジョンばかりをキャスティングしてましたのでラブシーンがつまらなかった!セクシーな魅力を持ち合わせたコールマンの時だけはガースンさんも甘いムードを見せてました。
 ほかにもロバート・テイラーと共演したコメディ作品や『奥様武勇伝』なんかも観ましたが、ガースンさん自身がフワーッとした方過ぎてコメディ演技が空回りしてました。グレゴリー・ペックとの『愛の決断』は、ペックが若々しくてガースンさんとのバランスが悪かった!クラーク・ゲイブルとの『冒険』は、MGMのトップ・スター同士の共演で楽しみにしてましたが、ガースンさんが大人すぎてキングが勇ましく見えなかった!など、上に挙げた《夫人シリーズ》ほどの名声は築けませんでした。
 逆に1943年にガースンさんがガースンさん自身を演じたMGMの『The Youngest Proffession』では若い映画ファンをお茶に誘うなんてサービス場面がありましたが、ガースンさんの魅力は少しゆっくりで古風な感じだったのです。
 優雅なMGM映画全盛期の想い出のスターなのですね。

 という事でこの暑いなか『心の旅路』を探しにBook Offまで出掛けます。ではまた。

天野 俊哉



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