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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1506 もうすぐ生誕100年ヴァージニア・オブライエン〜おかしなミュージカル歌手
 1919年春に生まれ、ハリウッド映画界で、しかもMGMミュージカルで活躍したベティ・ギャレット、ハワード・キールに次いでヴァージニア・オブライエンを取り上げます。
 この3人同い年なのに、活動した時期が被っていない。
 ヴァージニア・オブライエン 1940〜1947
 ベティ・ギャレット 1948〜1949
 ハワード・キール 1950〜1956

 不思議ですね。

 さて、私が初めてヴァージニアを観たのが『マルクス兄弟のデパート騒動』というコメディ映画。デパートの売り場で展開する8分位のミュージカル・ナンバーにベビー用品売り場が出てくるのですが、そこでニコリともせずゆりかごを揺すりながら子守唄を歌う女性、それがヴァージニア・オブライエンでした。全く表情を変えずに一本調子で歌うのでかなり可笑しくて笑ってしまいました!しかも不気味でした。
 その後、1940年代前半に製作されたMGMミュージカルの有名な作品を観ると頻繁にヴァージニアさん登場。
『シップ・アホーイ』
『パナマ・ハッティ』
『レディ・ビー・グッド』
『サウザンズ・チア』
『デュバリーは貴婦人』
『姉妹と水兵』
『ミート・ザ・ピープル』
『ジーグフェルド・フォリーズ』
『雲の晴れるまで』
『ハーヴェイ・ガールズ』

 最初は笑って観てましたが、どれもこれも同じ無表情なので、いつからか「何でこんな歌い方しかしないんだろう?」と思いだし、しまいには気の毒になりました。思えばミュージカル・ナンバーでも少しだけしか歌えず、役やセリフがあまり無いからです。
 わずかにレッド・スケルトンとルシル・ボール主演の『デュバリーは貴婦人』では、スケルトンに夢中なナイトクラブの売り子さん役でセリフがあり、フィナーレのミュージカル・ナンバー“Friendship”にスケルトン、ルーシー、ジーン・ケリー、バンドリーダーのトミー・ドーシーらと共に登場して嬉しそうでした。
 ジュディ・ガーランド主演の西部劇ミュージカル『ハーヴェイ・ガールズ』でもジュディ・ガーランド、シド・チャリスと三人娘みたいな役柄で、出演場面もセリフもミュージカル・ナンバーも多かった!しかも笑顔で歌うのでビックリしたものです。
 「何だ笑えるんだ!」
と感動したものです。
 美人ではありますが、多分普通に歌っていたら今日の名声?は築けなかったに違いありませんし、もっと笑いたかったに違いないなんて思っているのは私だけかも知れません。
 ミュージカルでないコメディ映画『スケルトンの映画騒動』にヒロインとして主演したのを最後にMGMを退社しました。

 1989年、往年のハリウッド映画のミュージカル・スターが集まり歌い踊ったコンサートがロンドンで開催されCD発売されたものを買いました。司会のヴァン・ジョンソンの紹介でヴァージニア・オブライエンが登場し、『雲の晴れるまで』で歌ったジェローム・カーン音楽を披露しました。そのひとつ“A Fine Romance”等は思えばフレッド・アステアの持ち歌なのに、声のトーンを変えず一本調子で歌うヴァージニアさんに物凄い拍手が。えらく存在感があるのに感動しました。
 ヴァージニア・オブライエンが亡くなった直後でしたがCDショップで彼女の追悼盤を見つけました。
 早速手に取り、収録曲をチェックしましたが、突如例の一本調子の歌声が聴こえてきたので購入はしませんでした。このコラムを書きながらCD買っておけば良かったかな?と少しだけ後悔してます。

 今回はMGMミュージカルのおかしな歌手、ヴァージニア・オブライエンを取り上げました。

天野 俊哉



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