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Vol.1505 もうすぐ生誕100年ハワード・キール〜声が良すぎるミュージカルスター
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1930年代から1950年代にかけハリウッド映画界で一世を風靡したMGMミュージカル。MGMにはジュディ・ガーランドやジーン・ケリーが主演したモダンなミュージカル映画と共に常にクラシックなオペレッタ・ミュージカルが製作されていました。私などは半世紀近くMGMミュージカルを観続けていますが、こうしたオペレッタ・ミュージカルが当時のアメリカの映画観客に歓迎されたとは思えない、のですね。もしかしたらMGM映画社のポリシーの様な拘りがあったのかも知れません。
戦後、マリオ・ランザというワイルドなオペレッタ・スターが誕生しましたが、会社とのトラブルがたえない。多分、そんな流れでランザの後釜としてMGMにスカウトされたのがハワード・キールです。私の勝手な解釈ですが。
背が高くてハンサムで素晴らしいバリトンの歌声を持つハワードは、1950年代にMGMが製作するミュージカル大作に次々と起用されました。
(写真 上から2番目。左からイギリスの名優デビッド・ニーヴン身長180cm、マリオ172cm、ハワード193cm)
『アニーよ銃をとれ』
ベティ・ハットンと主演したアーヴィング・バーリン音楽のブロードウェイ・ミュージカルの名作の映画化。当初の相手役はジュディ・ガーランドで録音した物が残されています。
『ショウ・ボート』
キャスリン・グレイスンと主演したジェローム・カーン音楽のブロードウェイ・ミュージカルの名作の2度目の映画化。
『ラブリー・トゥ・ルック・アット』
キャスリン・グレイスンと主演したジェローム・カーン音楽のブロードウェイ・ミュージカル。『ロバータ』の2度目の映画化。
『キス・ミー・ケイト』
キャスリン・グレイスンと主演したコール・ポーター音楽のブロードウェイ・ミュージカルの名作の映画化。
『掠奪された七人の花嫁』
ジェーン・パウエルと主演したハリウッドで製作されたシネ・ミュージカルの代表的作品のひとつ。
スタンリー・ドネン監督。マイケル・キッド振付。
『ローズ・マリー』や『キスメット』といったオペレッタ・ミュージカルのタイトルがありますが、私は観ておりません。
さらには《水着の女王》エスター・ウィリアムスが主演するあまり面白くないミュージカルにも付き合わされてました。
不思議なのは、ジーン・ケリー主演の名作『雨に唄えば』に当初ハワードの名前があがったり、ワーナー映画が歌手ドリス・デイの為に製作したまるで『アニーよ銃をとれ』のパクリみたいなミュージカル『カラミティ・ジェーン』にわざわざMGMから貸し出されて主演した事です。これら全てが当時のハワード・キールの人気を物語っています。
全盛期にはさぞや薔薇色のハリウッド生活を過ごしたと思いきや、MGM映画50周年ミュージカル『ザッツ・エンタテインメント』が公開された頃50代だったハワードは、インタビュアーの質問に「全盛期の頃は、いつも緊張していて楽しい時代では無かった」と答えていました。確かに『ザッツ』に収録された《1949年のMGM25周年記念パーティー》の記録映画には緊張した表情のハワードが映ってましたが、本当に辛そうでした。
それでも、20年後に製作された『ザッツ・エンタテインメント3』の時は名誉ある司会者の一人として出演し堂々と自身の映画をコメントしておりましたね。
今回は声が良すぎるMGMミュージカルのスター、ハワード・キールを取り上げました。
天野 俊哉
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