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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1504 もうすぐ生誕100年ベティ・ギャレット〜ミュージカル名コメディエンヌ
 先日、赤坂ACTシアターで観劇した宝塚歌劇月組公演『雨に唄えば』の終演後、トップスター珠城りょうさんの相手役をつとめた美園さくらさんが次の月組トップ娘役になる事が発表されました。お二人の相性がピッタリだったので良いニュースです。お披露目は大劇場の前に外部公演で、ブロードウェイ・ミュージカル作品『オン・ザ・タウン』になるとの発表までありました。日本ではジーン・ケリーが主演した映画版のMGMミュージカル『踊る大紐育』の方が知られていますね。
 今回は、その『踊る大紐育』で主要キャストの1人として活躍した女優ベティ・ギャレットがもうすぐ生誕100年を迎えます。

 ベティ・ギャレットは映画よりも舞台のキャリアの方が華やかで、オーソン・ウエルズ率いる伝説のマーキュリー・シアターに所属していたり、ブロードウェイの舞台ではミュージカルであのエセル・マーマン(ブロードウェイ・ミュージカルの女王と呼ばれた)の代役をつとめた事まであるそうです。後年、エセル・マーマン主演の『アニーよ銃をとれ』がMGMで映画化される際に、ベティ・ギャレットが主演候補の1人にあがったのはそんな代役の経験があったからなのですね。やがて、ブロードウェイ・ミュージカルの名作『コール・ミー・ミスター』でのベティの活躍をみたMGMから映画界にスカウトされました。

『ビッグ・シティ』
 《星の数よりも多くのスター》を抱えていたMGMがそのスター達を活かせなくなっていた1948年の作品。
 少女スターのマーガレット・オブライエンを中心に歌手のダニー・トーマス、歌手のロバート・プレストン、ダンサー出身のジョージ・マーフィ、子役ブッチ・ジェンキンス、俳優エドワード・アーノルド、そしてハリウッド映画デビューの我らがベティ・ギャレット!どんな話だったか全く思い出せません。
 すみません!

『作詞作曲』
 このお盆に観た舞台『ロジャース・アンド・ハート』の元となった伝記映画です。ベティはミッキー・ルーニー演じる作詞家ロレンツ・ハートの恋人役で“There's a Small Hotel”をしっとり歌いました。この役、舞台では宝塚出身の樹里咲穂さんが演じてましたね。

『私を野球に連れてって』
 大好きな映画なんだけど何度観てもつまらない?残念なミュージカル映画です。
 ジーン・ケリー
 フランク・シナトラ
 エスター・ウィリアムス
 ベティ・ギャレット
 ジュールス・マンシン

 これだけのビッグネームに囲まれたなんてベティさん素晴らしい!しかもシナトラの恋人役とは。フィナーレでは主演4人で歌い踊るチャンスを貰いました。

『水着の女王』
 《水着の女王》と言われたエスター・ウィリアムス主演作品で、ベティは人気コメディアンのレッド・スケルトンと最高におかしなカップルを演じました。
 私の一番好きなベティの作品です。

『踊る大紐育』
 先の『私を野球に連れてって』が大ヒットしたのでブロードウェイ・ミュージカル『オン・ザ・タウン』の映画版が同じスタッフとキャストで製作されました。再びシナトラと恋をする女性タクシー運転手の役で全編歌い踊ります。私は、舞台で使われたコミカルなタクシーのナンバーがあまり好きではなく、エンパイア・ステート・ビルの頂上でシナトラと歌う映画用のロマンティックな“You're Awful”の方がキュートなベティに向いていて好きです。

 ベティ・ギャレットは映画入りする前の舞台女優時代、既にラリー・パークスというコロンビア映画会社の若手俳優と結婚しております。その後、ラリー・パークスはコロンビアで製作された大歌手アル・ジョルスンの伝記『ジョルスン物語』に主演してハリウッドでも有名になりました。
 やがてハリウッドに吹き荒れた《赤狩り事件》により、ベティと夫ラリーのハリウッド映画界でのキャリアは終わります。それでもベティは1950年代半ばに一度復帰し『マイ・シスター・アイリーン』という隠れたミュージカル映画の名作に主演しました。

『マイ・シスター・アイリーン』
 主演はジャネット・リーと新人ジャック・レモン。ミュージカル・ナンバーでジャネットに絡むのがベティ・ギャレット、トミー・ロール、そしてボブ・フォッシー。製作されたのはコロンビア映画ですが、ジャネットもベティもトミーもボブも皆さんMGMの専属でした。だから素晴らしいのです!タップダンスも沢山登場しました。

 スタジオ・システム主流のハリウッド映画界は50年代に終わりを告げます。ベティと夫のラリーは舞台やテレビの世界で活躍した様ですが、私は詳しく知りません。ベティは2011年に91歳で亡くなりましたが、幸せな一生だったはずです。
 当時、追悼のつもりで彼女の歌のCDを買いました。
 歌手のヴィック・ダモンとロジャース&ハートの“Manhattan”をロマンティックにデュエットしたり、映画で共演したジーン・ケリーと“Take Me Out to the Ballgame”を賑やかにデュエットしている凄くご機嫌なアルバムでした。

 今回はMGMミュージカルのコメディエンヌとして有名なベティ・ギャレットを取り上げました。

天野 俊哉



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