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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1502 2018夏休み『ロジャース・アンド・ハート』(後編)
 タップ界のビッグネーム、玉野和紀さんが上演台本・訳詞・演出・振付の『ロジャース・アンド・ハート』を観に行きました。
 劇場は旧青山劇場の裏手にあるDDD青山クロスシアター。以前辿り着くのにやたら苦労した劇場です(コラムVol.831をご参照)。ただし今回は、今西康之さんのスタジオタップ72で12月の発表会(公演・イベント情報をご参照)でのデュエット・ナンバーの稽古があったので午後からずっと渋谷。劇場までは超近いので、100%迷うはずがないし遅刻するはずもない。
 定時に客席におりました。

 作曲のリチャード・ロジャースと作詞のロレンツ・ハートは、1920年代から1943年までブロードウェイで活躍した音楽チームですが、ハートが途中で挫折し、病死してしまう悲劇の人として知られています。ロジャースはその後別の作詞家と組んで華やかに復活を遂げますが。二人の音楽は、ジョージ・ガーシュイン、コール・ポーター、ジェローム・カーンの様な重厚さは無く、どちらかと言うとアーヴィング・バーリンの様な馴染みやすさ、軽やかさで大衆、特にニューヨークっ子に支持されたようです。私は初期の“Manhattan”が好きです。

 舞台はハートの部屋で、ピアノに向かうロジャース役の林さん、椅子に寝転んだハート役の矢田さんが“Manhattan”を共作する映画と同じ流れで始まるのですが、そこから先はオリジナリティに溢れた舞台で、私は目の前で繰り広げられる光景が信じられませんでした。
 これは凄いミュージカル作品でした。
 コンサート形式ではなく、ロジャース・アンド・ハート物語を全編6名のキャストだけで歌い踊り演じ、たった1人のピアニストが演奏するだけなのです。オーケストラ演奏でも無いし、効果音も無いし、舞台転換のスタッフも無いしでキャストが行う。最前列のお客さんに手伝ってもらう場面までありました。
 日本語に訳した歌詞がどれも素敵で、ドラマティックな場面の効果もあげていました。演出に関しては映画『作詞作曲』を観る度にノーマン・タウログ監督のセンスの無い演出にガッカリしているので玉野さんの演出には驚きです。
 玉野さんて凄い方ですね。
 1時間40分に登場する32曲の中でも樹里さんと矢田さんがアカペラで歌う“Falling in Love with Love”と同じく樹里さんの“My Funny Valentine”が最高でした。
 そして矢田さんが歌う失意の“Blue Moon”が泣かせる!
 ストーリー絡みのダンスナンバーでは『Pal Joey』の“You Musnt Kick It Around”での玉野さんのタップダンスと皆さんのアンサンブル。樹里さんと実咲さんを中心としたチャールストン振りの“The Girl Friend”。
 林さんと実咲さんの映画とは全く違うコミカルな“Thou Swell”の演出に笑い、お2人の“This Can't Be Love”や“My Romance”が甘くロマンティックでした。
 背が高くてハンサムな寺西さんは、ラジオ放送の場面での“Manhattan”の歌が魅力的でした。また、お客さんに絡む映画のカメラマン役やウエイター役で笑わせてくれました。
 皆さん素晴らしかったけど、初めて見る主役のお2人が圧倒的な存在感でした。今の若い方々はホント凄いです。

 早くからロジャース・アンド・ハートの音楽をCDで聴き、ライナーノートを読み、映画を観て予習はしたものの登場する32曲の多さと、知らない曲の存在に焦り、終演後に¥2000のパンフレットを買いに走りました。
 素敵なメロディに溢れた最高の夜になりました。

天野 俊哉



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