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Vol.1493 ドリス・デイのミュージカル映画DVD情報
 このコラムがスタートした2005年頃は映画のDVDも需要があったようで、古いミュージカル映画なんかもよく発売されていました。近年、全国の書店を基盤に、10枚で¥1800なんてディスカウントDVD BOXを販売するコズミック出版の出現により、「対抗しよう!」という会社も見事に消えました。
 そんななか、この業界で半世紀近く生き抜いてるジュネス企画という会社だけは現在でも古い名作DVDを販売し続けています。しかも一律¥5040とは凄い!
 頭が下がります。
 アメリカのポピュラー歌手としてはフランク・シナトラあたりと肩を並べる女性歌手ドリス・デイのハリウッド映画デビュー当時のミュージカル映画が発売されます。
『夢はあなたに』
“My Dream is Yours”(1949)
『夢で逢いましょう』
“I'll See You in My Dream”(1950)

 まあ、こんな似た題名のDVD2本を同じ時期に発売するなんてアンビリーバブル。共に日本劇場未公開なので、ある意味貴重かも知れません。
 カラー映画で賑やかでワーナー映画専属のアニメ、バッグスバニーが登場するのが『夢はあなたに』。
 白黒映画で地味だけど有名な音楽が沢山出てくる作詞家ガス・カーンの伝記映画が『夢で逢いましょう』。
 私はこのガス・カーンの伝記映画を学生時代に『ミュージカル映画事典』(平凡社刊2016)の著者、重木昭信氏の貴重なコレクションをお借りして以来観ていないので、今回は前者の『夢はあなたに』を中心にすすめて行きたいと思います。

『夢はあなたに』
“My Dream is Yours”(1949)
ワーナー・ブラザーズ映画
マイケル・カーティス監督
ルロイ・プリンツ振付

 ビッグバンド・ジャズ全盛期にレス・ブラウン楽団の専属歌手として“センチメンタル・ジャーニー”(松本伊代さんの歌とは別物よ)を大ヒットさせた美人歌手ドリス・デイがハリウッドに招かれワーナー映画と契約しました。
 マイケル・カーティス監督ら一流のスタッフを見れば「ドリス・デイをワーナー映画の新しいミュージカルスターに」という意気込みが伝わりますが、残念なのがキャストです。
ジャック・カースン
リー・ボウマン
イヴ・アーデン
アドルフ・マンジュウ
S・Z・サコール

 当時、ワーナー映画と契約していた助演級俳優のオンパレードであります。もちろん、普段は映画を支える大切な方たちですが、ミュージカルの主要キャストではありません。
 特に一番最初に名前が出るジャック・カースンですが、1930年代にはジンジャー・ロジャース映画の名脇役だった彼が、いつからかワーナー映画の歌って踊るスターのひとりに昇格。『夢はあなたに』ではついに若くて将来のあるドリスとラブシーンなどを演じてしまい「ジャックの奴、最近調子に乗りやがって!」と、ワーナー首脳部とアメリカのほとんどの映画観客を敵にまわしてしまったに違いない。
 ジャックの次の作品『It's a Great Feeling』では、「ジャック・カースンが主演する映画の監督なんてゴメンだ!」と実物の監督たち、
『摩天楼』のキング・ヴィドア監督
『白熱』のラオール・ウォルシュ監督
『カサブランカ』のマイケル・カーティス監督
『二人でお茶を』のデビット・バトラー監督

らが送られてきた台本を次々と地面に叩きつける!というギャグでスタートして笑わせてくれました。まあ、いい歳をしてドリス・デイとウサギの着ぐるみを着てミュージカル・ナンバーをこなす姿はなかなかチャーミングなものですが。

 少し先になりますが10月25日にジュネス企画より発売されます。興味のある方はぜひご覧くださいね。

天野 俊哉



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