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Vol.1478 宝塚月組公演『THE LAST PARTY 〜フィッツジェラルド最後の一日』
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《新しい日本青年館》
2020年の東京オリンピックに向けて新しくなった日本青年館大ホール。やっと観劇のチャンスが来ました。
宝塚公演のチラシをよーく見ると《日本青年館》の文字が何となくレトロですよね?これって多分、旧日本青年館がオープンした1970年代のものを復活させたのでしょう。
なかなか味がありますね。
《ポスター》
植田景子作・演出の宝塚月組公演『THE LAST PARTY』は、アメリカのジャズエイジである1920年代に活躍した作家F・スコット・フィッツジェラルドの生涯を描いた伝記物です。
実は我が家には3枚ほど映画等のポスターが貼ってあります。
(写真左から)映画『真実のマレーネ・ディートリッヒ』、映画『愛おしき隣人』そして舞台『THE LAST PARTY』初演版のポスターです。兵庫の宝塚大劇場に隣接する宝塚バウホールで上演された頃に買いました。残念ながら舞台は観れませんでしたので、記念にポスターだけを買ったわけですね。
《フィッツジェラルド》
さて、私はほとんど小説を読まないのでF・スコット・フィッツジェラルドの作品を映画や舞台でしか知りません。
まず、映画化されたものが
ロバート・レッドフォード主演の映画『華麗なるギャツビー』
(レオナルド・ディカプリオ主演で2013年に再映画化)
エリザベス・テイラー主演の映画『雨の朝巴里に死す』
ロバート・デ・ニーロ主演の映画『ラスト・タイクーン』
そして、フィッツジェラルドの伝記映画、グレゴリー・ペック主演の『悲愁』。
フィッツジェラルドの恋人シーラ・グレアムを名女優デボラ・カーが演じました。
次に、舞台化されたものでは宝塚花組公演、生田大和作・演出、蘭寿とむ主演の『ラスト・タイクーン〜ハリウッドの帝王、不滅の愛〜』。
書籍では、わずかにトム・ダーディスがフィッツジェラルドをはじめとする4人の小説家がハリウッド映画界で潰されてゆく様を描いたシビアな評伝『ときにはハリウッドの陽を浴びて』(Some Time in the Sun)だけですが、何度も何度も読みかえしました。
《いよいよ当日》
梅雨の中休み、キレイに晴れ渡った日曜日に出掛けて行きました。
その日は父の日。
御免なさい、お父さん。
行かなくて。
南砂町の教室が終わり、会場の最寄り駅の外苑前に着いたのが13時45分、開演75分前。
この界隈、お店が少なくてランチにありつけない。
そんな時、蜃気楼の様にインドカレーの店が目の前に現れた!
「でも今日は食べないぞ!」心を鬼にして素通りしました。
今回はビルの裏側でひっそり営業しているカフェを見つけて入りました。
《カフェ・ジェントル・ビリーフ》
中年の男性マスターが一人で切り盛りしている。壁にはおびただしい数のコーヒー豆が展示されている。サラダ、パスタ、そしてデザートの自家製アイス・クリーム&フレンチ・ブレンドと何れもマスターのこだわりの品々がゆっくり、ゆっくりと現れ、時計が気にはなったもののあまりの美味しさに満足しました。
これでたったの¥1000という《プチ・パスタ・コース》が終了したのが14時30分。開演30分前。
オリンピックに向けて変貌を遂げた外苑前通りを見間違え、引き返しながら、日本青年館に着いたのが14時50分、開演10分前。
まあ想定内の流れですな?
パンフレットを購入して席に着くと直ぐに開演ベルが鳴りました。
『THE LAST PARTY 〜フィッツジェラルド最後の一日』
今回の月組公演は実力派の若手男役の月城かなとさんがフィッツジェラルドを演じました。また、事実かフィクションか分かりませんが、同じ時代に活躍した作家アーネスト・ヘミングウェイをフィッツジェラルドのライバル的存在として登場させました。これは宝塚ゆえ、主演男役と共に2番手男役である暁千星さんの役柄をふくらませなければならない、という裏事情があるからです。
それを別にすれば、フィッツジェラルドの人生で最も重要なのが妻のゼルダと、コラムニストの恋人シーラ・グレアムの2人の女性の存在であります。
舞台転換が少なく落ち着いた作品という印象、舞台奥白紗幕後ろにはピアニストが生演奏で効果をあげていました。ミュージカル作品なので劇中歌だけでなく、フィナーレに数曲のメドレーがありましたが、バーリンの“Alexanders Ragtime Band”や“Cheek to Cheek”では何となく無理矢理な感じがして、素敵なドラマとのバランスが悪いと思いました。
実を言うと、私はフィッツジェラルドの青年期1920年から亡くなる1940年までの人生を追いかけるがやっとで、劇を楽しむまではいきませんでした。何回か観劇してからコラムにしたかったのですが、宝塚のチケットは入手困難につき再見は諦めました。悪しからず。
フィナーレ後に主役の月城かなとさんが「今日は父の日ですね。お父さんを大切にしましょうね」と挨拶をしたのは笑えました。
御免なさい、お父さん。
行かなくて。
天野 俊哉
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