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Vol.1470 戦争中アメリカは貧乏だった?(後編)
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第二次大戦中のアメリカの市民はどの様な生活をしていたのか?をアメリカの名門The Nation誌の主任編集委員だったリチャード・リンゲマン氏が書き上げた
『銃後のアメリカ人:1941〜1945』
全538ページ¥4800
前編では230ページの第D章までを取り上げましたが、あんまり面白くて、興味深くて、考えさせられ、何度も読み返したため後半はさらに半月かかりました。
後半は
E映画と戦意高揚
から始まります。
フィルムの原料は火薬の原料、クギは軍需工場建設を優先、フィルム切断に必要な剃刀の刃も不足、セット建設に制限があったのでロケ撮影が増えた、スタジオ技術者が軍需工場に引き抜かれたetc.
笑えたのが若い俳優が兵隊にとられてゆくので仕方なく歳をとった俳優がカムバックさせられた、悪役の日本人役に日本人がいないので中国人が演じた話。
興味深い内容は多いものの映画や音楽となるとリチャード・リンゲマン氏も訳者の滝川義人氏も専門分野でないのでダレる。例えば映画のタイトル。
日本公開題名『スイング・ホテル』が、原題名『Holiday Inn』でもなくカタカナ表記『ホリデー・イン』というのが気持ち悪い。また、『君去りし後』なんて素敵な日本公開題名を、原題『Since You Went Away』を普通に訳して『あなたが向こうへ行ってから』とか、さらにはアルフレッド・ヒッチコック監督の『海外特派員』を『外国特派員』とはあまりに無知すぎる。ちなみに巻末の索引でも下手な日本訳の題名がアイウエオ順に並んでいます。ちょっと残念。
F物不足と闇市取り引き
逆に市民生活に直接関わったこのコーナーが驚きでした。
日本が東南アジアを占領した為にアメリカのゴム、タイヤ、ガソリン、砂糖、コーヒーまでが配給制になったそうです。そしてギャングが偽造配給券を作る。さらには主婦による買いだめが始まる。隣組の活動なんて日本だけじゃない?もうアメリカ映画インチキですね。
そんななか、酒とタバコとバターだけは配給制にならなかったのは、お店から全て消えたから?また、何より戦地の兵隊に優先されたらしい。
そしてビーフ不足から馬肉やビーバーが代用品に。かなり笑えるコーナーでした。
G娯楽気晴らし流行愚行
娯楽が減ったので自宅で過ごすか?映画を観に行くか?ナイトクラブで踊るか?に限られた。また、戦時中に有名なナイトクラブ、ココナッツ・グローヴが火事になり487名が死亡したとか、サーカスのテントに火がつき、700名が負傷したなんて嘘みたいな事件事故もあったらしい。
H人種差別と暴動
いつの時代もアメリカが抱える最大の問題点である差別問題が最後に。黒人、ユダヤ人、日系アメリカ人だけでなく映画ではよく取り上げられるメキシコ系のズートスーツ族までも。
さて、私の文章力ではこの本の持つ本当の価値をお伝え出来ませんでしたが、ひとたび戦争になれば物資が豊富だろうと無かろうと全てが同じ不幸であるわけですね。このコラムを書いているなか、期待されていた米朝会談の延期が発表されました。後に予定どおり開催されることになりましたが、平和を願い、全世界がよい方向に向かいます様に。
ちなみに探しに探していた『銀幕の大統領ロナルド・レーガン』本ですが、再び池袋の書店に戻りパラパラと拾い読みをしました。こちらも¥4212と高価な本で購入も考えましたがやはり政界中心であり、ハリウッド映画界でのエピソードが当たり前すぎ、文章に遊びが無いのでパスしました。
おわり。
天野 俊哉
↓バックナンバーもぜひご覧ください
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