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Vol.142 気になる本:「ロマンチック・レヴュー」を読んで
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宝塚で1960年代からレヴューを創っている演出家・岡田敬二氏の著書「ロマンチック・レヴュー」を買いました。宝塚においてどのようにスケジュールが組まれ、作品が出来上がるのか、とても興味があったからです。
2009年に宝塚大劇場と東京宝塚劇場で上演された17作品のうち、洋物レヴュー及びショーはたったの6本でした。
ファナティック・ショー アパショナード (演出:藤井大介)
レヴュー・ファンタスティーク アビヤント (藤井大介)
ロマンチック・レヴュー Amourそれは... (岡田敬二)
ラテン・ロマンチカ Rio De Bravo!! (齋藤吉正)
スパークリング・ショー Exciter!! (藤井大介)
ファンタスティック・ショー Heat on Beat! (三木章雄)
才能ある藤井氏が3作品も担当しているのは、観客としては嬉しいものの、偏りすぎと言う感じです。以前よく名前の挙がっていた石田昌也氏、酒井澄夫氏、中村一徳氏はどうしてしまったのでしょうか?
そんな疑問を解く鍵が、岡田氏の本には書かれていました。宝塚では27名の演出家及び演出助手が随時企画書を提出し、会議で企画が通れば演出ができる、というシステムなのです。上記の4名はそんなラッキーな人たちというわけですね。岡田氏は「私は理事を兼ねているので、年に1作品のペースで創らせてもらっている」と本音をちらり。つまり芝居で言えば、植田某氏は理事だから「ベルばら」の企画が「誰の反対も無く」通ってしまうわけですよね。ゾッ。
さて、岡田氏の「ロマンチック・レヴュー・シリーズ」ですが、1984年の「ジュテーム」から2009年の「Amourそれは...」まで17作品あり、そのダイジェスト映像が付録のDVDに収められています。単なる付録、と軽い気持ちで観たのですが、大きなショックを受けてしまいました。
岡田氏に限ったことではありませんが、近年レヴューが弱くなった原因として挙げられるのが、1999年からの5組化による出演者数の減少、観客を魅きつけるスターの減少、記憶に残るメロディーの不在など様々ですが、決定的なのが衣裳であることを、そのDVDで見せ付けられたような気がします。1995年1月に起きた阪神淡路大震災以降の作品から、ガラッと輝きが無くなってしまったのです。
例えば、フィナーレでの出演者全員のラインナップでは、色彩は以前と変わらずきれいなのですが、階段の上とか周りに並んでいる方たちの、まばゆいばかりのスパンコールのきらめきが消えてしまったのです。手に持つシャンシャンもシンプルになりました。震災が宝塚に与えた打撃は計り知れないものがあったのだと、今更ながら気づかされました。ストックしてあった過去の衣裳の多くが、スプリンクラーの水でダメになったとも言われています。それでも少しずつ盛り返し、センターに立つトップスターを中心に華やかに見せる努力はしているようですが、15年たった今も元には戻っていないような気がします。岡田氏の「Amourそれは...」で新調した衣裳400点のうち、中国にオーダーした(つまり安く作った)ものも多かったそうです。以前は全て国内で生産されていたのに。
ただ、それでも日本に残された最後のレヴュー劇団として2010年も輝き続けてくれることを願ってやみません。
天野 俊哉
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