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Vol.140 気になるDVD:ジーン・ケリーのタップに釘付け
〜「デュバリーは貴婦人」(1943年MGM映画)〜
ブロードウエイ・ミュージカルの映画化でありながら、ストーリーとコールポーターの数曲を残して全く新しく作り変えてしまったMGMミュージカルです。プロデューサーのアーサー・フリードは舞台で主演した実力派エセル・マーマンとバート・ラーを起用せず、いたって映画向きのルシル・ボールとレッド・スケルトンに役を振り、当時新人のジーン・ケリーを加えました。彼ら若い3人がテンポの良い芝居を見せてくれます。
制作当時、アメリカではビッグ・バンドによるスイング音楽の全盛期。ということで物語に関係なくトミー・ドーシー楽団が出演し素晴らしい演奏を展開します。トランペットのジギー・エルマンやバディ・リッチなど、スター・ブレーヤーたちの“Well Get It”の迫力に圧倒されつつも、ハープを含む大勢のストリング・セクションのバラード演奏にうっとりすることでしょう。フランク・シナトラのライバルとして人気のあったバラード歌手
ディック・ヘイムズや、昨年亡くなったジョー・スタフォードの歌声もたっぷり聞けます。映画のための新曲“I Love an Esquire Girl”で、1942年のアメリカ美人たちがカレンダーに登場するシーンがハイライトです。
ジーン・ケリーがバラードを歌ったあと、ステージでタップを踏む“Do I Love You”のナンバーはかなり短時間で撮影されたらしく、コーラスガールズのNGが目立ちます。またケリーのバックで演奏しているドーシー楽団のドラマー、色男のB.リッチが、なぜかそこに居ません。そっと演奏を抜け出してスターの卵を口説いていたに違いありません。
ジーンはこのナンバーのために、映画会社の決めた振付師セイモア・フェリックスでなく、ブロードウエイから友人のチャールズ・ウォルタースを呼び彼に振付を依頼します。ダンスだけでなく演出力を見抜いたプロデューサーはウォルタースに「君はいつか監督の仕事を頼もう」と約束をしました。のちに「イースター・パレード」などですばらしい作品を残すことになります。
ジーンはこの作品のあと、タップの女王エレノア・パウエルと大作「ブロードウェイ・メロディ・オブ・1943」のリハーサルに入りますが、コロムビア映画の「カバー・ガール」にリタ・ヘイワースの相手役としてMGMから貸し出されることに。「カバー・ガール」でジーンはNo.1スターになるのですが、残されたE.パウエルは作品にも恵まれず数年後に引退してしまします。
さて「デュバリー」は、現代劇とR.スケルトンが夢で見る古典劇の部分に分かれているのですが、現代劇のセットはほとんどがナイトクラブに限られており、ミュージカルナンバーはそのステージの上です。衣裳は俳優自身のもの(MGMからはクリーニング代のみ支払われる)、ダンスの衣裳はMGMの倉庫から引っ張り出してきたものを使いまわしています。1943年(昭和18年)と言えば戦争中であり、大国アメリカと言えど物資節約の時代だったわけですね。そんなところにも注目してご覧になってみてください。
DVDは2010年1月25日にジュネス企画から発売されます。

天野 俊哉






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