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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1396 2018お正月〜宝塚歌劇雪組公演
 新トップスター望海風斗さん率いる雪組公演を観にお正月の東京宝塚劇場に行って参りました。先のトップスター早霧せいなさんがダンスの人だったのに対して望海さんは歌の人と言われていますが、長いこと花組で鍛えられた事から久々に歌、ダンス、芝居と三拍子揃ったトップさん誕生であります。

生田大和/作・演出
ミュージカル
『ひかりふる路
〜革命家マクシミリアン・ロベスピエール〜』

 ブロードウェイ・ミュージカル『ジキル&ハイド』で知られる作曲家フランク・ワイルドホーン氏が全楽曲を提供しているのが話題の作品。
 宝塚歌劇では、これまでも革命家ロベスピエールの話は何度も取り上げてきました。このフランス人が最も嫌うという人物を、演出の生田氏は「理想に燃える青年」が何故「恐怖政治の独裁者」に堕していったのかを興味深く描きました。私は観ていて、この主人公に決して感情移入は出来ませんでしたが、現実はきっとこんなだったのだ!と理解は出来ました。冒頭の革命家達のアンサンブルのナンバーから音楽の存在感に圧倒されっぱなしで、95分の作品が180分位の超大作に思えました。これを何ヵ月も演じ続けるキャストが凄い。もう宝塚歌劇というよりも劇団四季の芝居を観ている様な感覚にとらわれることもしばしばありました。実に素晴らしい作品でした。

野口幸作/作・演出
レヴュー・スペクタキュラー
『SUPER VOYAGER!〜希望の海へ〜』

 1部のお芝居とはうってかわってカラッと明るくて楽しいレヴュー。トップ・コンビの望海風斗さん真彩希帆さんの名前にちなんだコンセプトや新生雪組の船出といったテーマがいかにも宝塚らしい。
 オープニングで、出演キャストだけでなく観客にもポンポンを持たせて(=買わせて)振付に参加させる部分を除けば最高に楽しめました。ベテラン羽山紀代美氏振付によるオープニング・ナンバーでの、青と白をベースにしたシンプルな衣裳の写真を見たときは、如何なものか?と思いましたが、デザインが凝っており踊ると素敵でしたし、男役スターの生かし方がめちゃくちゃ上手かった。若い演出の野口氏がただ者では無いと思ったのが、シルクハットから燕尾服に至るまでオール白て揃えた大階段を使った体型移動のナンバー(振付/麻咲梨乃)で、場面構成が際立っていて見事でした。
 残念だったのが、男役2人がひとりの女を取り合うクラブのナンバーの存在でした。これは70年も前にジーン・ケリーが映画『作詞作曲』のダンス・ナンバー“10番街の殺人”の為に創り上げた構成で、〈クラブの階段で男をかばった女が撃ち殺される!〉のが最初から分かってしまう。今回振付を担当したANJU氏も宝塚時代『フラッシュ!』というレヴュー作品で、同じ様なナンバーに出演していました。その時は女役のANJU氏を男役の大浦みずきさん朝香じゅんさん2人が争うという構成でしたが、リンダ・ヘイバーマン氏の振付が非常に優れていて、ジーン・ケリー版に全く負けていなかったのです。
 それとは逆に、ミュージカル『LaLaLand』をイメージしたような若手をメインにしたダンス・ナンバーは、まず感覚が新しく、スタジオ・ジブリの音楽を使用したのも上手いセレクトでしたし、三井聡氏の振付も近年珍しくオーソドックスで、心地好く仕上がっていました。
 中詰の“コール・ポーター・メドレー”なども、先の星組の“シャンソン・メドレー”と同じ流れなのに、観客を引き込めるのはやはり演出力と、70名近いキャストを引っ張るトップスターのオーラなのですね。
 望海風斗さんと真彩希帆さんを中心とした圧倒的な歌唱力を備えた新生雪組の船出に乾杯!

天野 俊哉


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