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Vol.1391 宝塚歌劇星組公演(2017/12月)
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2017年最後の宝塚歌劇は、新トップ・スター、紅ゆずるさん&綺咲愛里さん率いる星組公演でした。
ロビーには星組のイメージカラーの青で統一されたクリスマスツリーが上品に飾られていました。
いくつもの星飾りの中、頂点に輝くベツレヘムの星にだけゴールドがあしらわれていて、まさにトップ・スターを表しているかのようでした。
まず、前半のお芝居は
原田 諒 作・演出
ミュージカル
『ベルリン、わが愛』
サイレント映画末期のベルリン映画会社ウファの若き映画監督の愛と葛藤を描いた作品。演出の原田氏は実在の人物を巧みに挿入する事で話に広がりを持たせただけでなく、これって実話?みたいなリアリティも感じさせました。雛壇にメイン・キャストをズラリ並べて客席に向かって着席した試写会会場場面の演出が素晴らしすぎたせいか、その後が普通に流れたのはやや残念。チャップリンやキートンの白黒サイレント映画の場面をバックに紅さんが映画創作の夢を歌う場面は好きだったけれど、ラストに長々と映像を持ってきたのは個人的には好きでない。また、タイトル前にミュージカルと付いている割りにはナンバーが少ないし、華やかなミュージカル場面がジョセフィン・ベーカーの劇中劇だけでした。この作品を観ながら、以前谷正純氏が演出した『秋、冬への前奏曲』という作品を思い出しました。確か同じようにユダヤ人の娘を扱っていましたが、もっともっと多くのキャストに役を与え、掘り下げ、巧みに演出した名作でした。
原田諒氏の今後に大いに期待したいと思います。
酒井澄夫 作・演出
タカラヅカレヴュー90周年
『Bouquet de TAKARAZUKA』
実は最初に観たときにあまり楽しめなかった?というより、自分の中で消化しきれなかったので、10日後にもう一度観直してコラムにしました。
ベテラン演出家の酒井氏が、タカラヅカ・レヴューの歴史を大切にしたコンセプトは分かるのですが、選曲と構成に多少時代のズレを感じました。
@プロローグ
主題歌は何度でも聴きたくなる心地好いメロディで嬉しくなりました。ただ、ラッパを持った兵隊さんが並んだあとにトップスターの紅さんがブランコで降りてくるという比較的ゆったりした幕開きだったので、どうせならチョンパで照明が入って舞台全体がうまっている方が華やかだったのでは。衣裳は原色を一切使わずに紫などを淡くしたもので統一して曲のムードとマッチしていました。
A恋の花咲く道
2番手スター礼真琴さんがチュチュを付けたバレリーナ達と踊る美しい場面。白から少しずつ赤くなっているチュチュのカラーや、すみれの花の背景も美しく、踊りを生かしていました。
Bシャンソン・ド・パリ
さて問題はここからで、本来なら男役のスーツの踊りとかが入るポジションなのですが、すでに中詰めに突入するのですね。懐かしの宝塚ソングのオン・パレードにしたせいか、歌謡ショーみたいになってしまいました。スター達をもっと銀矯で歌わせたりすれば良いのに、その殆どが本舞台だったのも勿体無い。ダンスも歌うスターのバックをつとめるレベルの物ばかりなので、名倉加代子氏の振付もやりようが無くて気の毒でした。ただ、お弟子さんの鳥居かほり氏が担当した“ブギ・ウギ・パリ”のナンバーでの女性ダンサーの振りが溌剌として目を引きました。
この景、ヅカファンならば「TMP音楽祭みたい!」と感じたはず。
この中詰の次が、実は近年グッと減ってしまった若手スター3人だけの銀矯渡りの歌“サ・セ・ラムール”。スターさんの衣裳替えの繋ぎであろうと価値がある場面なので大歓迎。
C赤い薔薇
もう後半ですよ。
本来なら、前半に入りそうなカルメンやジプシーが登場するスパニッシュ・ナンバー。しかもダラダラ長いのが辛い。紅さんが一人残って銀矯で歌う部分も果たして必要だったのだろうか?
Dフィナーレ
「えっ、もうフィナーレ?」と誰もが唖然としたはず。すみれの花をイメージした衣裳がスタイル抜群のタカラジェンヌを寸胴に見せてしまう。
中割が開いて現れた大階段、そこにいる大勢の男役ですが、ここにはスターと呼べる方はいない?「何故だ!」と普通に思いました。もちろんこうした普段ライトが当たらない方々をフューチャーする事も大切ですが、今回の様に場面が少ない中でこのキャスティングていかがなものでしょうか?
最後に、トップスター・コンビ、2番手スター・コンビ、3番手スター・コンビの3ペアが3色の衣裳で踊る“花夢幻”は「待ってました!」と言えるパッとした名場面でした。
Eパレード
やはり主題歌が素敵です!
もう少し全体が面白ければ高価なDVDを購入するところでしたが、やはりパスしました。
結局2回共、同じ感想のまま劇場をあとにしました。帰りに、お客さん同士の会話に耳を傾けると、「主題歌がいいわね!」とか主題歌を口ずさんでいる方が目立ちました。その昔、ツレちゃんが歌った“セ・マニフィーク”を話題にしてたり、意外に酒井氏の素朴な演出が普通に受けているのかも知れませんね。
天野 俊哉
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