TAP DANCE LOGO
INSTRUCTORS
STUDIO : 戸塚スタジオ
NETWORK
SCHEDULE
EVENTS
COLUMNS
DANCE TEAMS
LINKS
OUR MASTER : 佐々木 隆子
COLUMNS

Vol.1384 幻の親ソビエト映画とシド・チャリス
 社会主義国家、マルクス・レーニン主義、スターリン独裁政権のソビエト連邦、Y'sのコラムもついにそこまで踏み込むのですか?な、訳ありまへん。

 先日、ボーッと観ていた映画のタイトルが『モスクワへの密使』“Mission to Moscow”1943年ワーナー映画。もちろん日本未公開作品。スパイ映画だと思ってましたよ私は。ところがこれ、第二次大戦前にソビエト連邦の駐米大使だったジョセフ・E・デイビス氏が書いた同名著書を映画化した伝記兼親ソビエト映画であり、映画の最初にデイビス氏自らが登場し、「皆さん(つまりアメリカ人ね)はソビエトを知らない!どれだけ素晴らしい国家であるのか!社会主義を理解しよう!スターリンを崇拝しよう!」などをサラリと述べたのち、ジャンジャジャーンとワーナー映画のマークが出て、タイトルに。バックにながれるのがロシアの軍歌“ポーリュシカ・ポーレ”。ルーズベルト大統領(もちろん俳優)は出るわ、スターリン(もちろん俳優)は出るわ、ソビエトのメーデーや軍需工場や軍隊の実写フィルムは出るわ、物凄く濃い内容の疲れる2時間でした。
 何が変かと言うと、アメリカがこんな映画を製作してしまった!のが問題なのですね。資本主義国家ですから。
 当時の社会情勢から仕方なく製作してしまったであろうこうした親ソビエト映画は、他にも『ロシアの歌』『北極星』『炎のロシア前線』等、決して多くはありませんが製作されました。

 さて、こうした映画に関わった映画人の全てが後のハリウッドに吹き荒れた共産主義者を追求する赤狩り事件の槍玉に上がり、裁判にかけられました。『モスクワへの密使』の製作を推進した当のルーズベルト大統領と主演のウォルター・ヒューストンはこの赤狩りの時期に、すでに故人だったあたりなんとも皮肉な話ですね。

 『モスクワへの密使』がいかに問題作とは言え、デビュー当時のエリナー・パーカーが美しい!とか見るべきところも多いのです。振付のクレジットにルロイ・プリンツの名前があったので注意してるとバレエの場面が出てきました。男女の美しい踊りなのですが、カメラが女性に寄るとそれが何とシド・チャリス!後にフレッド・アステアやジーン・ケリーのパートナーをつとめるミュージカル映画の名ダンシング・スターの、もしかしたら映画デビューかも。
 貴重なワンシーンでした。
 そう言えば、シド・チャリスはアステアさんとの『絹の靴下』ではガチガチの共産党員を演じてましたね。

 Y'sのコラムは、政治と宗教には中立の立場ですので、今回はここまでです。

天野 俊哉


Copyright 2005 Y's Tap Dance Party. All rights reserved.