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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1372 ミュージカル映画DVDBOX第2弾(その2)
 書店で買えるコズミック出版のDVD BOXミュージカル映画シリーズ第2弾《ミュージカル・パーフェクトコレクション/ブロードウェイ》が発売されました。
 その1では、ハリウッド・ミュージカル映画の黄金時代である1930年代の戦前の作品を取り上げました。
 今回はアメリカが第二次世界大戦に突入した時代の3作品を取り上げます。

★『ブロードウェイ』
(1941・MGM映画)

 コズミック出版DVDの『青春一座』を日本語字幕入りで観てその面白さを再認識したのが、ミッキー・ルーニー&ジュディ・ガーランドのコンビ作品。その『青春一座』をぐんとパワーアップさせたのがこの『ブロードウェイ』であります。途中から戦時色が強くなったり、かと思いきや往年のブロードウェイのスターを演じる場面があったり、安定しない部分はありますがミュージカル・ナンバーはどれも派手で嬉しくなります。
 ミッキーの仲間として登場するレイ・マクドナルドはタップダンサーなのでタップ・ソロが沢山用意されています。
 ミッキーとジュディがピアノを弾きながら歌い踊るラブ・バラード“How About You”は、私のなかでは押田勝年&淺野康子の名タップ・ナンバー。2011年の公演だからもう6年も前になるのですね。懐かしい!  さて、名振付師バズビー・バークレー創作のプロダクション・ナンバーは2つあります。納屋を舞台にした健康的な“Hoe Down”は、ちょっぴり機械的な振りがユニーク。ダンサーならば絶対に踊りたくなる名ナンバー。そして、キャストが顔を黒く塗って演じるミンストレル・ショーのフィナーレ・ナンバー。100人以上のダンサー達が白い燕尾服や白いミニスカートのスタイリッシュな衣裳を着て物凄いスピードでタップを踏みまくる。若い頃、あのWingステップの真似ばかりしてましたっけ。

★『ヤンキー・ドゥードル・ダンディ』
(1942・ワーナー映画)

 ジェームズ・キャグニーの名作も¥180ですか。ちょっぴり微妙。
 1900年代から1930年代にかけてブロードウェイで大活躍したダンサー、コメディアン、脚本家、音楽家そして演出家のジョージ・M・コーハンの伝記映画。こちらも1930年代のアメリカ映画界で一番人気のあったジェームズ・キャグニーがこの偉大なソング&ダンス・マンを熱演しました。リベラルな発言の多かったキャグニーが超右寄りな題材を探して遂に巡りあったのがこの作品とか。
 そんな部分を別にして、ド派手なミュージカル・ナンバーだけを拾い観するだけでも楽しいです。キャグニーは実際にコーハンと舞台を共にしたダンサーのジョニー・ボイルからコーハンの癖のあるステップやスタイルの指導を受けました。
 私が圧倒されたのが、4つのプロダクション・ナンバーにおけるキャグニーのダンスでした。もちろん演出や振付もあるでしょうが、キャグニーの持つパワーと観客へのアピールが凄いのですね。キャグニーはあくまでも劇中劇の舞台を基本にしているだけなのに。
 あとはワーナー・オーケストラの編曲と演奏もキャグニーの踊りを盛り上げています。
1“Yankee Doodle Boy”
 競馬場でのダンスと舞台袖の壁に飛び上がる動き。
2“Give My Regard to Broadway”
 夜の波止場でのタップダンス。
3“You're Grand Old Flag”
 南北戦争の北軍の制服を着たキャグニーのタップダンス。
4“Off the Record”
 議会のテーブルを前に、ルーズベルト大統領に扮したキャグニーのタップダンス。
 お時間のある方はぜひそんな所に注目してご覧くだされ。

★『デュバリーは貴婦人』
(1943・MGM映画)

 ブロードウェイ・ミュージカルのテクニカラー映画版。
 コール・ポーターが音楽を書いていますが、映画向けの音楽が多数加えられました。戦時色はまるでありませんが、ほとんどがナイトクラブの場面なので予算削減が見え見えで辛い。
 ブロードウェイ版の主演が
エセル・マーマン
バート・ラー
ケニー・ベーカー

とやや渋めなのに対して、映画版は
ルシル・ボール
レッド・スケルトン
ジーン・ケリー

と一気に美男美女で華やかに。また、ビッグバンド・ブームに乗って当時人気No.1だったトミー・ドーシーと彼の楽団が出演して華を添えてます。
 ダンス・ナンバーは、ジーン・ケリーが大勢の女性ダンサーズを従えて踊る“Do l Love You”のみですが、チャールズ・ウォルタースの振付が最高です。
 予告編にはもう少しダンス場面がありましたが、カットされた模様。
 トミー・ドーシー楽団の演奏では、スインギーな“Well Get It”が何度観ても嬉しい。また、楽団メンバーがそのままレッド・スケルトンの夢の場面に現れて変な扮装で“Katie Went to Haiti”を演奏するのもバカバカしくて笑えます。
 一番お金をかけたのが、デュバリー・ガールズという美女12名をフューチャーした“I Love An Esquire Girl”ナンバーかも知れません。
 レッド・スケルトンの歌から、ドーシー楽団の歌手ディック・ヘイムズ、ジョー・スタフォードとパイド・パイパースの美しいハーモニーに合わせ、1943年の最新ファッションと美女を映し出します。ナンバーの最後にチラッと出てきてウインクをするのが、ゲスト出演のラナ・ターナーです。
 主演のルシル・ボールとレッド・スケルトンがコメディアンなので、ミュージカル映画に本来あるべきプロダクション・ナンバーはありません。オープニング・ナンバーでは美声だったルシル・ボールの声が、フィナーレの“Friendship”ではアヒル声に!  ルシル・ボールは、後年このアヒル声でテレビ界の大スターになりました。
 つづく。

天野 俊哉



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