|
|
| | |
|
|
|
|
| | |
|
Vol.1353 『A Guy Named Joe』
|
|
最近、このコラムで頻繁に取り上げる、書店で買えるDVD BOXシリーズから《戦争映画パーフェクト・コレクション・シリーズ》のひとつ『地獄の最前線』を買いました。
そうですか!戦争映画ですか!
皆さまのぶちギレ寸前のお顔が目に浮かびます。
映画とは娯楽として捉えるから面白いもので、新聞に空襲警報やら本土決戦などという文字が並ぶこのご時世に戦争映画もどうかとは思いましたが。
さて、収録されているのは、1925年から1953年に製作された10作品です。
まず、第1次世界大戦を扱ったサイレント映画が1作品。第2次世界大戦中に製作された6作品の全てが日本未公開作品、さらに朝鮮戦争の頃に製作された3作品を含めて10作品初めて観るものばかりでした。
これらが真面目な戦争映画かと思いきや、突っ込みを入れたくなる作品のオン・パレードだったので、ちょいとひとくちメモ等を書いてみたいと思います。
1『恐怖への旅』(1941)
映画史上の名作として必ず登場する『市民ケーン』を若干26歳で監督した天才オーソン・ウェルズ。
そのオーソン・ウェルズ率いるマーキュリー劇団が参加した反ナチス映画。
子分であるジョセフ・コットンに主役だけでなく脚本まで書かせたものの、そこはオーソン先生、ジョセフ・コットン絶体絶命の場面で、『スター・ウォーズ』のハン・ソロみたいに格好良く登場して見せ場をさらった!あんまりズルいので大爆笑してしまいました。コメディじゃないのに。
2『パナマの死角』(1942)
推理映画の名作『マルタの鷹』のスタッフ、キャストが再び顔を合わせた反日映画。軍国主義時代の日本に傾倒している巨漢シドニー・グリーンストリートがハラキリを途中で止めてしまう!それあり?
ハンフリー・ボガートが楽しそうに主役を演じており、作品に緊張感がまるで無いのが笑える!
3『駆逐艦ウォレン』(1942)
ロバート・テイラー主演のユルい戦争映画。船から1ダース以上の赤ちゃんを救助、水兵たちがあやす。
こんな馬鹿みたいな映画に出たせいか、愛国心に目覚めたボブさん、本当に軍隊に入隊してしまいました。
4『戦雲に散る曲』(1941)
イギリスで製作されたヨーロッパ戦線を舞台にした作品。脚本がのちに007映画で有名になるテレンス・ヤングなので、一筋縄ではゆかない?ただし、主演が名作『赤い靴』でプリマを死に追いやる嫌なパトロンを演じたアントン・ウォルブルックなので軍服を着ても戦闘機に乗ってもインチキ臭い。
実に不思議なムードを持った作品でしたがね。
5『マニラ・コーリング』(1942)
舞台となるフィリピンのジャングルにパリッとしたスーツを着て美しく登場するのが、ピンナップ・ガールとして有名だったキャロル・ランディス!
映画は真面目な戦争映画ですが、あり得ない展開。
先のロバート・テイラー同様にキャロルさん愛国心に目覚めたのか?この後、女性でありながら本当に戦場を駆け巡る慰問部隊に志願してしまった!
6『ジョーと呼ばれた男』(1943)
映画が始まって40分間、主役のスペンサー・トレイシーとアイリーン・ダンそれに名脇役として有名なワード・ボンドの3人が延々とスクリーンを支配。いくら名優でも中年キャストでこれはキツい!と思った瞬間スペンサー・トレイシーが戦死してしまう。えっ?主役でしょ?あとはどうするの?
次の場面は何と雲の上、死んだスペンサー・トレイシーが天使に面会を。
ここからが面白いのです。スペンサー・トレイシーは“ゴースト”として地球に逆戻りし、難題を解決してゆくのです。
戦時中にこんな愉快な脚本を書いたのが、あのダルトン・トランボ!
ヴァン・ジョンソンや(水着にならない水着の女王)エスター・ウィリアム)らMGM映画の若手スターがここから登場します。
お互いの姿を、愛を確かめる事が出来ないかつての恋人同士の苦悩を笑いの中でみせる、これは傑作です。
スクリーンに大写しになる名優2人の芝居が泣かせます。
ただし、いくらなんでも女性のアイリーン・ダンが飛行機で日本軍の基地を爆撃するなんてあり得ませんね。ここはトホホでした。
戦後、製作されたアラン・ラッド主演の『別働隊』は戦争映画というよりはサスペンスもので、危険を知らせるギターのメロディに名曲“モナ・リサ”が登場します。
朝鮮戦争時代を描いた2本の映画『東は東』と『女の戦場』は多分長くなると思うのでまたの機会にいたしましょう。
興味のある方は是非ご覧になって下さいね。
天野 俊哉
|
|
|
|
|
|
| | |
|
|
|