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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1345 土屋嘉男氏追悼〜昭和の東宝映画の名優
 『2017東京リズム劇場』のアイス・スケートのコントでハニワ・ユズキチ選手を演じて大ウケした竹下恭平君は、大の日本映画ファンであり、日本映画界の巨匠黒澤明監督作品をも全て制覇しているそうな。日本タップ界では、他にスタジオタップ72の今西康之さんが黒澤明監督の熱烈なファンであります。
 私はと言えば、黒澤明監督のデビュー作である『姿三四郎』から『白痴』まで初期の12作品しか観ておらず、あの代表作『七人の侍』すらまだなのですね。

 そんな黒澤明監督作品の名優のひとりとして有名な俳優の土屋嘉男氏が、今年の2月に亡くなっていた!というニュースをつい先日聞きびっくりしました。私の父と同世代の方だったので、「もう知人友人も少ないから家族葬にしてくれ」とご家族に伝えてあったのでしょうか。

 土屋氏は、黒澤明監督作品の重鎮という立場からか、監督が亡くなった後に『クロサワさーん!』というタイトルの著書を出版しました。土屋氏がいかに黒澤監督に可愛がってもらったか?みたいな内容で、私は購入したはずなのですが、自宅にも実家にも見当たらなくて、この大切な追悼コラムで触れる事が出来ません。
 リズム劇場の振付に追われまくってる今、土屋氏出演の黒澤明監督のDVD鑑賞の余裕もないし困った!

 ところが私、この夏に東宝映画の監督で、黒澤明監督の親友でもある本多猪四郎監督の特撮作品をズラッと鑑賞していたのです。
 もちろん土屋嘉男氏が出演した特撮作品が結構ありました。
 『地球防衛軍』
 『宇宙大戦争』
 『怪獣大戦争』

 黒澤作品の重鎮がまさかの宇宙人役を気持ち良さそうに演じていました。しかも、観ているこちらが思わず赤面してしまうような妙な宇宙服を着て。
 そのなかに特異な作品がありました。
 『ガス人間第一号』
 小学生の頃に観たきりの作品でしたが、何と土屋氏と八千草薫さんが主役でした。タイトルは凄いけど、日本舞踊のお師匠さん八千草さんとバトロン土屋氏の純愛物語であり、お師匠さんの愛した人がたまたまガス人間だったのです、みたいな分かりやすい展開でした。本多監督の演出と土屋氏の緊迫した演技がドラマティックな盛り上がりをみせています。冷静に観るとガス人間の出番は数えるほどで、ガス人間を演じている土屋氏の演技がこの作品の全てであります。同じ舞踊の世界に生きる現在、とても勉強になる一編でありました。

 次は、黒澤明監督作品における土屋嘉男氏を鑑賞してみる予定です。
 土屋嘉男氏のご冥福をお祈りいたします。

写真下 上段
『七人の侍』で侍たちの世話役を務める年若の百姓、利吉(りきち)を演じる土屋氏。土屋氏の演じる感情を押し殺した利吉の存在感は、“八人目の侍”と言っても過言ではない
最下段左
『地球防衛軍』で「俳優は顔が見えればいいってもんじゃないんだ!」と主役級の二枚目役を蹴り、日本人俳優として初めて宇宙人(センターに座る赤いミステリアン統領)を演じる土屋氏。顔が見えないからこその、高い演技力が求められる
最下段右
センターに座るX星人統制官が話す宇宙語「ワレワレハ宇宙人ダ」は土屋氏の発明。男の子なら誰でも一度は喉仏を叩きながら「ワレワレハ・・・」とやった、アレ

天野 俊哉



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