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Vol.1342 (祝)100歳記念マーシャ・ハント〜ハリウッドの美人女優から女性闘士へ
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ハリウッド・スターとしては、カーク・ダグラス、オリビア・デ・ハヴィランドに次ぐ(祝)100歳記念コラムになります。
1917年10月14日生まれ。
ハリウッド映画女優として100本以上の作品に出演、もしくは主演してきたマーシャさんですが、私が観たのはほんの数本でしかありません。
《映画『カーネギー・ホール』》
マーシャさんがトップ・ビリング(出演者の最初に名前が出る事)で主演した数少ない作品。ニューヨークにあるクラシック音楽の殿堂、カーネギー・ホールを舞台にした音楽映画。
私は20歳の時に、早稲田大学の近くにあったACTと言うミニシアターで観ました。¥1000位の入場料を取っていましたね。全て日本語字幕の入った16oフィルムでの上映というあたりは本格的でした。グルーチョ・マルクスとカルメン・ミランダ主演の『悩まし女王』もここで観ました。ただ、椅子では無くて畳かカーペット敷の客席だったはずで、リラックスしすぎて熟睡している人が多かったのです。
で、マーシャさんに戻りますが、何故早稲田までこの作品を観に行ったかというと、クラシックの音楽家達と共にジャズ・トランペッターのハリー・ジェームズが出演していたからです。はい、それだけであります。2時間を超える大作のトリが何とハリー・ジェームズでした。
堂々の主役を演じたマーシャさんですが「存在感はかなり薄かった!」という残念な感想を持ちました。
《MGM映画のスター女優として》
1930年代に、沢山の作品に脇役出演をした後、当時のハリウッド最高の映画会社MGMと契約をします。
1940年頃の話です。
会社にも「マーシャさんを育てよう!」という動きがあり、タイトルも2〜4番目位の役が多かった様です。
『Panama Hatie』
コール・ポーター音楽によるブロードウェイ・ミュージカルの映画化。アン・サザーン、レッド・スケルトン、リナ・ホーンら歌や踊りのスターばかりの中に、ヒロインの恋敵役として登場するマーシャさんが少々気の毒。
『花の合唱』
ヨーロッパの片田舎を舞台にした7人姉妹の話。
MGMが売り出そうとしている若手スター7人をキャスティングしたミュージカル映画。歌えるキャスリン・グレイスンが主役で、歌えないマーシャさんが2番手の位置付け。25歳とは思えない位大人っぽくて、気取ったキャラが笑わせる。
『Thousands Cheer』
戦場の兵士慰問を目的に製作されたMGMオールスター・キャストのミュージカル映画。主演はキャスリン・グレイスンとジーン・ケリー。見せ場は作品の後半に登場するミッキー・ルーニー司会によるショー場面の数々。エレノア・パウエルのタップ、ジュディ・ガーランド、ジューン・アリスン、リナ・ホーンらの歌、ボブ・クロスビー楽団、ケイ・カイザー楽団らの演奏に交じって、マーシャさんは『オズの魔法使い』を始め詐欺師を演じたらMGMナンバー・ワン男優のフランク・モーガンとコメディ・スキットを演じました。グリーンのスーツを着たテクニカラー画面でのマーシャさんは一段と美しかった。
『町の人気者』
ウィリアム・サローヤン原作小説の映画化。主役の郵便局員をミッキー・ルーニーが好演。マーシャさんは、こちらもMGM売り出し中の若手ジェームズ・クレイグの恋人役として目立った存在。
『Pilot No.5』
1930年代からのMGMスターであるフランチョット・トーンに、若手のマーシャさんとジーン・ケリーが絡む戦争映画。今観ると無茶で変な映画ですが、残された映画のスチル写真がどれも素敵です。コズミック出版から発売されている戦争映画DVD BOXに『勝利への出撃』のタイトルで収められています。
《その後のマーシャさん》
天下のMGMが少しずつ傾き始めた1946年頃を境に他社の映画に出演しはじめました。先の『カーネギー・ホール』で主役を演じた後、戦後のハリウッドでブームになったフィルム・ノワール作品『Raw Deal』に出演。脱獄したギャングの逃走劇でしたが、お上品なMGM育ちのマーシャさんが、ワーナー映画などのB級路線作品で鍛えてきたデニス・オキーフやクレア・トレヴァーみたいな曲者と組まされたのは不運。
その後、マーシャさんは脚本家のご主人と共に、1940年代後半からハリウッドに吹き荒れた赤狩り事件に巻き込まれてしまいました。
マーシャさんは映画で見る穏やか雰囲気とは違って、ハッキリと主義主張を述べる女性だそうで、あくまで保守的だった当時のハリウッドを敵にしてしまった様です。やはり、同じ様な立場でハリウッドを追われた脚本家のダルトン・トランボらとも親交があったそうです。
現在に至るまで、マーシャさんの活動は留まる事が無いとも言われています。特異なキャリアを生きてこられたマーシャさんの人生を、きちんと知りたいので日本でも自叙伝や評伝をぜひとも出版して頂きたいものです。
今回はもうすぐ100歳のお誕生日を迎える映画女優のマーシャ・ハントさんを取り上げました。
天野 俊哉
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