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Vol.1328 SKD卒業生の自叙伝を読んで〜倍賞千恵子さんと淡路恵子さん
 松竹歌劇団(SKD)出身の映画女優お二人の自叙伝をたまたま同時期に読みました。
 SKDとは、浅草の国際劇場をホームグラウンドに、戦前から1980年代まで活動してきた関東の宝塚歌劇団という解説が必要かも知れませんね。普段あまり語られる事の無いSKDの裏側を知りたい気持ちで購入したのですが。

「倍賞千恵子の現場」(PHP新書 2017)
 「男はつらいよ」シリーズで、長い人気を得た倍賞千恵子さん。倍賞さんの本は、今までも何冊か出版されて来ましたが、何れも渥美清さん=寅さん関連の内容だったのでパスしてきました。渥美さんが晩年、とても辛い状況で撮影をし続けていた事を聞いてからは益々避けるようになりました。
 今回の本の情報は、週刊誌での倍賞さんと阿川佐和子さんのインタビュー記事を読んで知りました。単行本でなく、新書というあたりもリーズナブルで良いですね。ただし、期待したSKD時代の事はほんの少しだけで、あとは案の定映画女優としての想い出話がメインでした。実は、倍賞さん国際劇場の舞台にはそれほど多くは立っていない?そうで、直ぐに映画会社に出向になったそうです。本のタイトルが、《現場》ですから当然ですが。勝呂誉さん、渥美清さん、高倉健さん、苙智衆さん、山田洋次監督etc.素晴らしい名前のオン・パレード。まあ、松竹映画を代表する清楚な倍賞さんの書かれた本ですから、裏話まで清くありました。

 さて、真逆と言ったら失礼に当たるかも知れませんが、そうとしか表現のしようが無いのが、SKDでは倍賞さんの約10年先輩にあたる淡路恵子さんの遺書を綴った様な本。
「死ぬ前に言っとこ」(廣済堂出版 2014)
 SKDの舞台から映画入り、結婚を機に芸能界を引退、御主人の病気と借金が重なるが、苦労して乗りきる。が、その御主人に裏切られてしまい、最期は自身が不治の病に。
 何だか唖然としながらページをめくりましたが、この本は淡路さんが生前遺書として書いたものを、死後息子さんにより出版されたそうです。
 「踊りたいからSKDに入団したのに、ある日変なおじさん達にジロジロ見られた挙げ句、出たくもない映画に出演させられた!」
 まだ研究生だった16歳の淡路さんを抜擢したこの変なおじさんが映画界の巨匠黒澤明監督で、出たくもなかった映画が日本映画史上の名作「野良犬」というのが凄い。
 全271ページ。
 それにしても、この御主人が悪い奴すぎる。

 死を目前にした淡路さんが全てを語っています。この淡路さんから比べたら松居一代さんなんて生温い。
 興味のある方はBook Offあたりで安く入手出来ます。
 女性にはオススメします。

天野 俊哉



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