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Vol.1299 小林信彦氏への応援歌
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何かと世間を騒がす週刊誌として知られる「週刊文春」。
宝塚歌劇団の「歌劇」、映画雑誌の「キネマ旬報」、演劇情報誌の「シアターガイド」と共に定期講読している数少ない雑誌のひとつでした。
何故過去形なのかと言うと、「週刊文春」の大好きなコーナーが休載になってしまったからであります。
もともと、中吊りに大きく書かれる類いのすっぱ抜き記事やスキャンダル記事には興味が無くて、いくつかのレギュラー連載のみを楽しみにしていました。
林真理子氏のコラム
伊集院静氏の悩み相談
宮藤官九郎氏のコラム
みうらじゅん氏のコラム
阿川佐和子氏のインタビューetc.
そして、映画の知識人であり作家の小林信彦氏のコラム。
5月を過ぎた辺りから急に小林氏のコラムが掲載されなくなりました。編集部からは誌上で何の報告もなかったので、私はある週から買うのをやめてしまいました。確かにご高齢ですが、文章からはそんなマイナス面、全く感じませんでした。
その後、休載の件が誌上に掲載されたそうです。
私が映画を観始めた1973年頃、アメリカのコメディ映画についての専門書は、中原弓彦氏の「世界の喜劇人」だけでした。図書館から何度も何度も借りてきては、何度も何度も読み返しました。
当時、日本でリバイバル上映されていたチャールズ・チャップリン、バスター・キートンを始め、テレビの映画劇場で良く放映されていたダニー・ケイ、ボブ・ホープ、マーチン&ルイス、さらには新人ウディ・アレンまでの喜劇人を取り上げた凄い内容でした。
そして、その中原弓彦氏こそが小林信彦氏のペンネームだったのです。
その流れから、小林氏が連載していた「キネマ旬報」誌の購読につながりました。中学生だった私に「キネマ旬報」誌の記事は難しかったのですが、小林氏のコラムは魅力的でした。
忘れもしない1974年5月、小林氏がニューヨークで出会ったミュージカル映画「ザッツ・エンタテインメント」のコラムを読んで私の人生が決まりました。
「ザッツ」のどこが、どう素晴らしいのか?を小林氏のスタイルで解説してありました。もう、ずっとそのコラムばかり読み返していました。そして、猛然と「ザッツ」が観たくなりました!
それまで私が観たMGMのミュージカル映画は、ジーン・ケリーの「雨に唄えば」だけだったので、MGM映画に感情移入出来る要素は全く無かった訳です。小林氏の文章がいかに私の興味を引き付けたか?お分かりいただけると思います。
その後も「キネマ旬報」誌を読み続け、何時からか「週刊文春」にコラムの連載が始まりました。単行本や文庫本も片っぱしから読みあさりました。
小林氏のコラムも、確かに若い頃の鋭さは無くなりましたが、アメリカのエンタテインメントを知り尽くした文章は流石であり、今後も並ぶ人は出ないと思います。
BOOK OFFの文庫本コーナーに行くと小林信彦氏の本が沢山ありますので、興味のある方はぜひ一度ご覧になってみて下さい。
小林信彦氏には、一日も早く復帰していただきたいです。
天野 俊哉
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