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Vol.1283 生誕100年リナ・ホーン〜ハリウッドで活躍した黒人歌手
 1940年代のMGMミュージカル映画で活躍した黒人歌手のリナ・ホーンが生誕100年を迎えます。先のコラムで取り上げた女優スーザン・ヘイワードと同じ1917年6月30日生まれです。

 MGM映画創立50周年記念映画「ザッツ・エンタテインメント」(1974)で、リナ・ホーンが私達のスタジオでは“スロー・バック#1”として知られるジャズの名曲“ハニーサックル・ローズ”を歌うリナを初めて観ました。
 当時のハリウッドでは黒人歌手には歌う場面だけしか与えられず、台詞や演技のチャンスは殆どありませんでした。それでもリナは、白人の血の混じった、歌える美人という事から、黒人であってもかなり優遇されていました。
 リナのデビュー作品で、コール・ポーターが音楽を提供した「Panama Hattie」では、ソロで歌うだけでなくステッキを器用に使うフラッシュ・アクトが売り物のベリー・ブラザーズとのダンス・ナンバーまで用意されました。ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージック・ホール出身のヴィンセント・ミネリが監督をつとめた「I Dood It」では、実に凝った“Jericho”というナンバーで歌いまくりました。また、MGMが契約していたミュージカルの大スター達を沢山並べる、いわゆるオール・スター・キャスト映画にも黒人歌手としてリナは必ず名前を連ねておりました。

 さらには、MGMやFOXの様なメジャーな映画会社としては珍しい、全てが黒人キャストのミュージカル映画「Cabin in the Sky」「Stormy Weather」の両作品に堂々の主演。前者では、ジョン・W・バブルズ、後者ではビル・ボージャングルス・ロビンソンというタップ・ダンスの巨匠とそれぞれ共演しております。きちんとしたドラマであり台詞もラブシーンもありました。たったひとつ、リナが泡にまみれて歌う実にヴィンセント・ミネリ監督らしいミュージカル・ナンバーだけは、「黒人の入浴場面とは何事だ!」とクレームがついてカットされました。

 私がミュージカル映画を観初めてから20年後に製作された「ザッツ・エンタテインメント3」(1994)には、リナ自身がMC役で出演しましたが、ほかのスター達と違い本音トークなのにビックリしました。1951年のMGMミュージカル超大作「ショウ・ボート」で、自分が演じる予定だった役をエヴァ・ガードナーに取られた苦悩を語るのですからね。ちなみに、私が一番好きなリナ・ホーンのミュージカル・ナンバーは、1946年の「Till the Clouds Roll By」での劇中劇の舞台「ショウ・ボート」で歌った“Can't Help Lovin Dat Man”。皮肉にも、エヴァ・ガードナーにもってゆかれた曲であります。

 現在、リナ・ホーンの歌や映像はYouTubeで聴くことが可能ですので、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。

天野 俊哉


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