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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.127 気になるDVD「世界の料理ショー」
 かつて料理番組は、NHKの語学講座のようなまじめなタイプのものばかりでした。1974年から日本で放送の始まった「世界の料理ショー」は、俳優みたいにハンサムなグラハム・カー氏が、ワイン片手にジョークを飛ばしながらゴ−ジャスな料理を作るという、新しいスタイルのものでした。まだまだ「お茶の間」といった空間が健在だった頃、私が目にしたメニューは、「オッソ・ブーコイ仔牛煮込みミラノ風」「鶏丸焼きパイナップル詰めオーストリア風」「帆立のコキールパリ風」「パインシャーベット バハマ風」「ニジマスのフライ ニューオリンズ風」etc、もう一生かかっても食べられないようなご馳走ばかりでした。
 毎回カー氏がその日の料理を自ら試食するのですが、目をとろんとさせ、本当においしそうに食べる彼の表情とそのジェスチャーが最高。そのあと、大勢のお客さんの中から一人だけテーブルに招いて試食させるシーンもスマートで、こちらまでワクワクしたものです。今ではスタバやデニーズでも食べることの出来る「パンプキンパイ」なども、当時は目を丸くしたものです。私の母などは何度も調理をトライしましたが、35年前の日本ではこの番組に出てくる調理器具や材料が「手に入らない」ため、あきらめてしまいました。
 今回発売されたDVDは8枚組で¥41,790と高価ですが、それだけ魅力のある内容です。本国で放送されたのが1968年〜1971年ということで、私が観ていたときですら、もう「過去の番組」であったことにびっくりしました。カー氏の料理はバターを惜しみなく使うことが売りで、非常にコレステロールの高いメニューです。そんな食生活を続けていたことからカー氏の奥さんが重い病気になり、ショックを受けた彼はその後すっかりベジタリアンになってしまったとのことです。特典映像では、現在のグラハム夫妻が元気に登場し、こうした裏話をチャーミングに語ってくれます。一番笑えたのは、この番組の発端が、実はTVプロデューサーだった奥さんに尻を叩かれスタートした番組でした !! というくだりでした。

天野 俊哉





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