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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1196 「雨に唄えば」の大スター〜デビー・レイノルズ追悼
 昨年末「スター・ウォーズ」で有名なキャリー・フィッシャーが亡くなった翌日に、母親でミュージカル映画女優のデビー・レイノルズが亡くなりました。
 以前から体調不良が伝えられていたので、とても辛い訃報になってしまいました。私の父と同世代なのに、デビーなんて気軽に呼べてしまう親しみやすさを持った女優さんでした。
 中学生の時にテレビで観たミュージカル映画「雨に唄えば」で、大きなケーキから飛び出して歌い踊る“夢見るのは貴方だけ”がデビーとの初対面。翌年、MGM映画創立50周年記念「ザッツ・エンタテインメント」では、フレッド・アステアやジーン・ケリーらと共にMC役で出演しました。

 ミュージカル女優として、デビーがMGM映画で活躍したのは1950年から1955年までの短期間で、それ以降はコメディ映画が多かった。アステアと共演したのも「結婚泥棒」というコメディでした。
 「雨に唄えば」で分かるように、器用にタップダンスもこなせてしまうのが魅力。私にとって、そんなデビーの代表作は「雨に唄えば」以上に「Give a Girl a Break」でした。監督がスタンリー・ドーネン、振付と主演がガワー・チャンピオンとボブ・フォッシー。
 アンサンブル・ダンサーには若き日のジョージ・チャキリスも(右の写真最後列右端)。
 ガワー・チャンピオンは、後にブロードウエイで「42ND STREET」を演出した人物、フォッシーはもう説明不要ですよね。こんな若い才能に囲まれたデビーは、彼らの要求する複雑な振付を見事にこなしていました。
 この作品には“In Our United States”というデビーとフォッシーのデュエット・ナンバーがあるのですが、天井から場面一杯に紙吹雪を降らせ、その中を二人が風船を割りながらタップを踊り、さらにはフィルムを逆回しするというドーネン監督好みの演出が楽しかった。私は、「1996年のナショナル・タップ・デー」で、このナンバーで使われたサウンド・トラックの音楽を使って淺野康子さんと踊りました。同じ舞台で、このナンバーでフォッシーが着ていたイエローの衣裳を使って踊ったのが松本晋一さん穴田英明さんのお二人でした。さらに淺野さんは、デビーが着ていたイエローのドレスを「RECIOUS 2012」の舞台で着用し、押田勝年君ともデュエットしてますので、この作品の、このナンバーのお陰で様々にアレンジされたわけですね。私達はこんなにもデビー・レイノルズと縁があるのです。

 書きたいことはまだまだ沢山あるのですが、天国でお嬢さんと再会出来た事は逆に幸せな事だったはず、と信じたいです。
 改めてデビー・レイノルズとキャリー・フィッシャーお二人のご冥福をお祈りいたします。

天野 俊哉




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