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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1192 ミシェル・モルガン追悼〜フランク・シナトラとミュージカル映画で競演も
 フランス映画の大女優ミシェル・モルガンが亡くなりました。
 ミシェルというと「霧の波止場」「田園交響曲」「夜の騎士道」などフランス映画の名作のタイトルがスーッと頭に浮かびます。共演した男優もジャン・ギャバン、ジャン・マレー、ダニエル・ビアンキ、ジェラール・フィリップなんて名優ばかりだったと思いますが、困ったことにわたくし彼女の作品をほとんど観ておりません。
 「それで追悼コラムだなんて正月早々ふざけるな!」
 皆様のお怒りの声が聞こえてきます。
 イギリスで出演した「落ちた偶像」だけは学生時代に京橋のフィルムセンターで観たのですが忘れました。
 すみません。
 ところがですね、ミシェルが第二次大戦中にハリウッドで主演した2本の作品は観ているんですよ。おまけにビデオ、DVD、CD、かつてはレコードまで持っておりました。
 「偉くないよ!そんなの」
 はい。
 まずは、ハンフリー・ボガートと主演したマイケル・カーティス監督の戦争映画大作「渡洋爆撃隊」(1944)。
 予告編を観ると大ヒットした映画「カサブランカ」の感動を再びみたいなコピーが目立ちます。そう言えばスタッフもキャストもほとんど同じ。唯一無駄に使われているのが、残念ながらミシェルでした。確かにボギーの回想シーンに登場するベレー帽をかぶったミシェルはパリジェンヌのムード満点で素敵ですが、あくまで戦争映画なので、女性は記憶に残らないのですね。ワーナー映画会社も、イングリッド・バーグマンほどにはミシェルに力を入れなかった模様です。多分、2〜3日撮影所に通えば済むくらい出番が少なかった。
 もう一つが驚くなかれミュージカル映画で、ブロードウエイで108回しか上演されなかった、ロジャース&ハートの作品「Higher and Higher」をRKOが映画化しました。我らがミシェルは一応トップ・ビリングですが、本当の主役は当時アメリカで物凄い人気を誇った歌手フランク・シナトラでした。
 この作品でミシェルは、大富豪のお屋敷で働く召し使いの一人を演じましたが、他の召し使い役はブロードウエイの舞台やハリウッドのミュージカル映画のプロフェッショナルばかりでした。若き日の歌手メル・トーメ、コメディアンのジャック・ヘイリー、マーシー・マクガイア、「カサブランカ」のピアニスト役ドゥーリー・ウィルソンら凄い人達とアンサンブルで歌い踊るのです。私は長年、オープニング・ナンバーでアイロンをかけながら軽快に歌うミシェルを、絶対に吹替えだと信じていたのですが、どの記録を見ても〈本人歌唱〉になっています。
 大したものです。
 ちなみに原題は「高く、もっと高く」と味気無いものですが、日本のテレビで放映された時は「お嬢様はにせもの」なんて洒落たタイトルが付いていました。
 素っぴんに近いミシェルが、貴婦人に変身する場面が見ものでした。
 ミシェル・モルガンのご冥福をお祈りいたします。

写真 上から
・ミシェル・モルガン(1920-2016)
 受賞歴:
 「田園交響楽」(1946)で第1回カンヌ国際映画祭 女優賞
 1969年にフランス政府からレジオンドヌール勲章
 1992年にセザール賞 名誉賞
 1996年にヴェネツィア国際映画祭 栄誉金獅子賞
・ミシェル・モルガン関連コレクション
・「落ちた偶像」でラルフ・リチャードソンと
・「渡洋爆撃隊」でボギーと
・「Higher and Higher」でシナトラと
・「Higher and Higher」のアイロンシーン

天野 俊哉




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