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Vol.1179 「ビギン・ザ・ビギン/日本ショウビジネス楽屋口」
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和田誠さんが書いた「ビギン・ザ・ビギン/日本ショウビジネス楽屋口」(文春文庫)という本を買いました。
残念ながら新刊書のご紹介ではありません。34年も前に出た単行本の文庫版で、私は今の今までその存在を知りませんでした。単行本がボロボロになってしまったので、今回の出会いはラッキーの一言です(写真は単行本と文庫本を並べたものです)。
和田誠さんはイラストレーターであり、映画評論家であり、映画監督という多才な方。料理家の奥様も有名だし、御子息も俳優だし、その御子息の奥様が女優の上野樹里さんであります。
さて、この本は和田誠さんの伯父で、日劇の演出家だった山本紫朗氏(写真)を中心に、日本のショウビジネス関係者にインタビューをしてゆくという大変貴重なものです。
日劇最後の日
ショウと劇場
ショウの構成
ビギン・ザ・ビギン
振付と舞踊構成
喜劇人
ジャズブーム
映画・歌舞伎
ウエスタン・カーニバル
チャリティショウ・博覧会
など、ショウビジネスやダンス関係者が大喜びしてしまいそうな話題を、和田さんらしく読者目線で紐解いてゆきます。
最後の章が「そして、レヴューは」とあるのは、この本が発売された1982年は、日劇に続いて浅草の国際劇場が閉館したレヴュー界にとってはお先真っ暗な時期だったからです。
ただ、ダンス界は前代未聞の大ブームであり、「ダンスはプロのやるもの」から「素人が参加するもの」に変わってきた時期で、どのダンス・スクールも超満員でした。
その後、私達がお世話になる新宿コマ劇場の地下のシアターアプルが開館したり、ジャズダンス協会が出来たり、この本の出版は〈日本のショウビジネスの最後の栄光の時代〉への橋渡しとなりました。
私個人としては、この本にインタビューに答える立場で登場する振付師の県洋二氏、山田卓氏、日劇出身のダンサー神埼一人氏とは直接お話をさせて頂いたり、同じく日劇出身のダンサー立川真理氏、新倉まり子氏、西川純代氏のダンスをリハーサルから本番まで舞台袖から近距離で観る事が出来ました。これも全て師匠である佐々木隆子先生のお蔭です。
最近でも、ダンサーの岩川護さんが浅草のゆめまち劇場でダンス・ショーをプロデュースされました。客席にいて「観客が付いていないな」と感じたものですが、演出家の山本紫朗氏も振付師の山田卓氏も当時全く同じ様な言葉を使っているのが印象的でした。規模が大きい小さいの違いがあってもショウビジネスというものの存在は同じなんだな、というのが今回読み返しての感想です。
ぎりぎりリアルタイムでこの時代を体感する事の出来た私達世代が、日本のショウビジネスをどの様な形で次世代に伝えてゆけば良いのか?自分への課題だとも思いました。
天野 俊哉
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