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Vol.1161 生誕100年イヴリン・キーズ〜追悼コラムを書けなかったハリウッド女優
 今年、生誕100年を迎えるハリウッド映画の女優イヴリン・キーズは、ハリウッド映画史上の名作「風と共に去りぬ」でスカーレット・オハラの妹役で有名に。その後、1940年代自由の女神のマークのコロンビア映画会社の専属女優になりました。
 日本では、残念ながらアル・ジョルスンの伝記映画「ジョルスン物語」位しか知られていません。この作品で、イヴリンはジョルスン夫人を演じました。舞台のダンサーからハリウッド映画のスターになったルビー・キーラーをモデルにした役ですが、踊る場面は少なく、演技も表情がワンパターンで魅力がありませんでした。18歳で初めてこの映画を観たときからそれがイヴリンに対する私のイメージになりました。
 その後、イヴリンがキーナン・ウィン、アン・ミラーと主演したミュージカル映画「恋のブラジル」を観ましたが、やはりイヴリンに関するイメージは変わらず、表情が無いのです。
 そんな理由からか、2008年にイヴリン・キーズが亡くなった時、ついに追悼コラムを書くことが出来ませんでした。
 映画を観ても、ポートレート写真を見ても何の興味も湧かなかった女優さんですが、最初の実業家はさておき、その後の結婚相手の名前にはたまげ、俄然興味を持ちました。
 「カバーガール」「ギルダ」等で、リタ・ヘイワースを最高に生かした映画監督のチャールズ・ヴィドア。
 「マルタの鷹」「黄金」「アフリカの女王」等で、ハンフリー・ボガートを最高に生かした映画監督のジョン・ヒューストン。
 後にエリザベス・テイラーとも結婚した大物興業主のマイケル・トッド。
 歴代夫人はハリウッドのグラマー女優ばかりというバンドリーダーで、クラリネット奏者のアーティ・ショウ。
 よくわかりませんがアメリカのショービジネスにおけるくせ者、強者揃いです。
 凄いぜ!イヴリン。
 試しにジョン・ヒューストン監督の自叙伝をめくると、パーティで初めて顔をあわせた二人。すかさず「ねえ、私達結婚してみない?」と切り出したのがイヴリンだとか。
 やったぜ!イヴリン。
 ジョンがあちらこちらから蛇やチンパンジーを貰ってきてはイヴリンと同居させたそうな。
 苦労したんだね!イヴリン。
 アーティ・ショウなんて奥さんに哲学書とかを平気で読ませる変人だしね。
 実はイヴリン・キーズのこうしたプライベートでの手記がかなり有名らしいのです。一度読んでみたいものです。
 先にあげた「ジョルスン物語」には、イヴリンの様々なダンス・レッスン風景があるのですが、ある場面には全く別人の様な可愛らしい表情のイヴリンが撮られていました。もしかしたら、これがくせ者強者をおとしたイヴリンの裏の表情なのかも知れません。このチャームを裏でなく表に出せればスターとしてもっと成功したわけですよね。
 惜しいぜ!イヴリン。
 今回は、ハリウッド女優のイヴリン・キーズを取り上げてみました。

写真右 上から
・テキサス生まれのイヴリン・キーズ
・健康的な脚線美のイヴリン
・「風と共に去りぬ」でスカーレット・オハラと
・「ジョルスン物語」でラリー・パークスと
・同作品のメガフォンを取ったアルフレッド・E・グリーン監督と
・「恋のブラジル」でキーナン・ウィンと
写真下 左から(カッコ内は結婚期間)
・チャールズ・ヴィドアと(1943年〜1945年)
・ジョン・ヒューストンと(1946年〜1950年)
・マイケル・トッドと(夫婦同然だったが、トッドがリズに夢中になってしまい捨てられた!)
・懲りずにアーティ・ショウと(1957年〜1985年)

天野 俊哉




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