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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.1115 ミュージカル映画DVD情報「ゴールドウィン・フォリーズ」
 1920年代から30年代にかけブロードウエイでは有名な興行師によるレビューが人気でした。
 「アール・キャロルのヴァニティーズ」「ジョージ・ホワイトのスキャンダルズ」そして一番人気は「フロレンツ・ジーグフェルドのフォリーズ」でした。
 現在ではフォリーズという名称だけが独り歩きしており、ミュージカル「Crazy for You」にはザングラー・フォリーズなんてレビュー劇団が出てきますし、日本にも劇団フォリーズがあります。
 1930年代そんなジーグフェルドの死を悲しんだハリウッドの独立プロデューサーサミュエル・ゴールドウィンが、レビューの灯を消してはならないと大金を投じてレビュー映画の製作に乗り出しました。
 それが「ゴールドウィン・フォリーズ」なのですが、かなりトホホな作品となりました。
 バレエの世界で超一流のジョージ・バランシンが振付を担当し、バレリーナのヴェラ・ゾリーナの為に豪華なバレエ・ナンバーを。また世界のジョージ・ガーシュインに新曲を書かせたり発想は良かったのです。
 ただ、ドラマの主役が当時のハリウッドでは助演格のアドルフ・マンジュウとすぐに消えたアンドレア・リーズの二人。コメディ・リリーフがラジオのスターエドガー・バーゲン&腹話術の人形チャーリー・マッカーティー、そしてマルクス兄弟のライバルとしてハリウッド・デビューを果たしたリッツ・ブラザーズ。
 ガーシュインの新曲を歌う歌手が、歌は上手いけど何か冴えないケニー・ベーカーなどなど。
 こういった説明を聞いていれば「ああっ!有名な人だったんだ」と感情移入出来るのですが、二時間の映画を引っ張るにはかなりツラい顔ぶれです。
 これが遺作となったジョージ・ガーシュインは
“Love Walked In”
“Our Love is Here to Stay”

などの名曲を残しましたが、歌手が地味だったせいでどの様なシチュエーションで歌われたのか?全く記憶にありません。
 今観ると少し古めかしくはありますが、モダンバレエとタップダンスのコラボ・ナンバーに勢いを感じました。
 せっかくバランシンを連れてきたのに何か物足りないこの「フォリーズ」。実はバランシンがその才能の全てを注ぎ込んだ作品がリハーサルの段階でカットされてしまいました。バレエなど理解出来ないゴールドウィンが簡単にカットしたのがあの“パリのアメリカ人”。ジーン・ケリーより14年も早いアイデアだったのです。
 今回はオススメは出来ませんが、ジュネス企画から発売された「ゴールドウィン・フォリーズ」のDVD情報でした。

天野 俊哉




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