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Vol.1105 マイケル・チミノ監督追悼〜ツイてない人
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大学受験の時、英語の長文読解試験に登場したのが、「ディア・ハンター」(1978)で描かれた死のゲームであるロシアン・ルーレットでした。お陰様でスラスラ訳せました。
この7月「ディア・ハンター」でアカデミー賞を総なめにしたマイケル・チミノ監督が亡くなりました。
1980年頃、映画雑誌で一番話題になっていたのが「チミノ監督の『天国の門』は本当に完成するのか?」でした。約4400万ドルもの巨額製作費が投じられて完成はしたものの全くヒットせず、映画会社は潰れ、チミノの監督生命は終わりました。
では、そんな映画になってしまった原因て何だったのでしょう。「ダーティーハリー2」でチミノに脚本を書かせ、「サンダーボルト」(1974)でチミノに初めて監督をさせた同映画のプロデューサー兼主演であったクリント・イーストウッドの評伝によると《才能はあるが、生意気な若者》であったと。やたら冗長な場面が続くチミノ演出最大の欠点をフォロー出来るプロデューサーの不在がチミノ監督をダメにしたのではないでしょうか。
さすがに学生達のばか騒ぎシーンが30分も続いたり、こんなに長く撮影する必要ってあったのかな?とは思いました。
ただ、「気に入った雲が撮れるまで撮影中止」なんてワガママ演出、日本では黒澤明監督も小津安二郎監督も溝口建二監督も普通にやっていました。映画会社が潰れた事などありませんでした。つまりはハリウッドとハリウッドの撮影システムそしてマスコミを敵にまわしたのが原因の様ですね。
チミノ監督作品はとても少ないのですが、ジェフ・ブリッジス、クリストファー・ウォーケン、ミッキー・ローク、ジョン・ローンら魅力的なスター俳優を育てました。
今回コラムの為に「ディア・ハンター」「天国の門」「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」(1985)を再見しました。テンポの悪さには呆れたものの、エキストラを山のように使った迫力ある場面の連続は、CGのインチキ場面ばかりの今日から比べると大いなるロマンを感じました。
マイケル・チミノ監督のご冥福をお祈りいたします。
写真 上から
・マイケル・チミノ監督(1939〜2016)。死因不明
・「ディア・ハンター」でロシアン・ルーレットをする
クリストファー・ウォーケン
・「天国の門」の主演クリス・クリストファーソンと
・「サンダーボルト」を撮るチミノ監督。
背後にクリント・イーストウッド
・「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」の主演ミッキー・ロークと
天野 俊哉
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