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OUR MASTER : 佐々木 隆子
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Vol.106 オススメDVD 3
「踊る海賊」(1948・MGM映画)
ニューヨークのラジオ・シティ・ミュージックホールで美術監督を担当していたヴィンセント・ミネリが、MGMの映画監督になって最も実力を発揮した作品のひとつです。現在ではほとんど観られなくなった、テクニカラー(総天然色映画)の美しさが舞台劇のミュージカル化である、この作品をより引き立てています。
音楽コール・ポーター、振付ロバート・オルトン、そして当時ミネリの妻だったジュディー・ガーランドと、最高潮のジーン・ケリーが主演、その他MGMの一流スタッフ、キャストが名を連ねています。ミュージカル・ナンバーの少ないことが気になりますし、タップ・ダンスが無いのは残念ですが、ドラマ部分のテンポが良いため、不思議とこういったことを忘れさせてくれます。
3曲ものソロをたっぷり歌うジュディのナンバーはどれもすばらしく、特にダンサーを従えた“Mack the Black”は何度も繰り返し観てしまうほどです。いずれもオルトンの映画向けのステージングが見事です。
相手役であるジーンは、ひげとかつらを付けてとてもセクシーであり、衣裳もバラエティに富んでいて魅力的です。ジーンが女性たちに囲まれて踊る“Nina”や、プロダクション・ナンバー“The Pirate Ballet”におけるモダン・バレエとアクションの力強さに驚きました。全体を通して、ジュディよりもジーンの出ている場面にとても力が入っているような気がしました。一説によると、ミネリ監督がほれ込んでいたのはジーンの才能だけでは無かったので、そんな撮影状況にジュディが嫉妬して精神的に不安定になってしまったそうです。
ミュージカル・ナンバーでのスパニッシュ・ダンスやモダン・バレエは、エキゾチックなムードのこの作品にとてもマッチしているのですが、ジュディとジーン唯一のデュオ“Be A Clown”はドタバタ踊りで、しかもそのままENDマークというのが、初めて観た時から気に入りませんでした。同じ曲をニコラス・ブラザーズとジーンの3人で踊るダンスは楽しめるのに。しかしまあ、“Be A Clown”はこの作品中最も有名なナンバーですし、たぶんそんな意見は世界中で私だけだと思いますが・・・
「踊る海賊」は20年ほど前にリバイバル上映されましたが、なぜか日本でのビデオ発売はありませんでした。今回はじめての日本語字幕入りDVD発売は、とてもうれしいことです。
(5/25 DVD発売 ジュネス企画 JVD-3168 税込\5,040)

「ベル・オブ・ニューヨーク」(1952・MGM映画・日本未公開)
「巴里のアメリカ人」「雨に唄えば」のプロデューサー、アーサー・フリードはMGMミュージカルの父とも言うべき存在でした。そんな彼が1940年代から常々企画にあげていたのが、この「ベル・オブ・ニューヨーク」。1890年代を舞台にしたノスタルジックでファンタスティックなミュージカル!! というコンセプトですが、制作された当時(1951年)のアメリカの“懐メロ”映画なので、今観るとちょっぴり古めかしい衣裳に好き嫌いが出てしまうかもしれません。
フレッド・アステアのミュージカルと言えば「イースター・パレード」や「バンド・ワゴン」が傑作とされていますが、私はそれらの作品を観た頃から、ダンス・ナンバーなら「恋愛準決勝戦」や「ベル・オブ・ニューヨーク」の方が面白いのにと思っていました。アステアの相手役ヴェラ・エレンは、タップからクラシック、モダン、アクロバットまで、歌以外は何でもすばらしいスターでした。ロバート・オルトンが振付をしたアステアとエレンの3つのデュエットは、アイデアいっぱいで、踊る2人ともとてもエンジョイしている様に見えます。どのナンバーも長いのに全く飽きさせません。エレンは、ブロード・ウエイ時代に、ロバート・オルトン・ダンサーズの一員だったこともあり、ソロ・ナンバー“Naughty but Nice”は彼女の魅力全開です。
アステアのソロ・ナンバーも2曲あります。公開当時、“DANCING ON AIR”がこの映画のキャッチ・フレーズで、劇中で登場する“Seeing's Believing”もそんなナンバーの一つ。ファンタスティックなダンスなのですが、トリックの下手さもあってあまり楽しめないのは皮肉なことです。ソロならば、ステージいっぱいに砂を撒いて踊る“I Wanna Be a Dancin' Man”がすばらしいですね。当初の予定では、アステアは物語の役柄である地味なウエイターの衣裳のままで踊るはずだった、というエピソードを思い出すと、さらに楽しめます。「ザッツ・エンターテイメント・PART3」にそのバージョンが収められていますので、気になった方は是非どうぞ。
「ベル・オブ・ニューヨーク」は、日本未公開でビデオ発売もしていないので、日本でソフト化されるのは初めてです。
(5/25 DVD発売 ジュネス企画 JVD-3169 税込\5,040)

天野 俊哉





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